冬
断ればよかったのにツリーの飾り付けなんて目一杯楽しそうに調子を合わせたりして その内にほら聞きたくもない話になるね、見る目無いよね、ってカレにじゃなくてキミにね 2色の電飾を苦労して巻き付けて綿の雪をもうふんだんに載せて 天辺にはベツレヘムの…
ずいぶん長く会えなかったけれど話せなかったけれど 元気でいた?それともまだ夜毎赤い目を擦って もう笑えないかもって もうきっと笑えないかもって 悪い夢に足を絡められてきみをきみが縛って 今夜星が降ればいい 祈りがきみに届いたらいい 煌めく粒を胸い…
まだいまは薄く張った氷のうえ気をつけて気をつけて進むその手を離しはしないから あと少し降るような花の庭まで気をつけて気をつけて進もうきみを離しはしないから
きみを思ったりはしない 酔い痴れて誰になのかささやかな誓いまた破って 組み上げたパズルを崩す また一から嵌め込むんだ忘れるためにまた思い出して 繰り返す夜欲しいものだけをなんとか忘れて だけど同じさよく似た微笑みに振り返ってしまう 何処まで 追う…
電車をもう2本も見送って プラットホームの端降ったり止んだりの雪紺色のピーコート悴んだ指先俯いたままの横顔 短く揃えた襟足に北風 マフラーをしていたらな、って繰り返し夢にみる遠い冬の無声映画のなか動いているロープウェイ 見下ろした海よりはしゃぐ…
最終の電車を待ってた白い息を吐いて 誰もいない駅で誰もいない心で あのトンネルを越えればもう過去になると知って 伝えた言葉はいろんなものが足りない 山道のカーブの数字をきみはただ数えて 変わる僕を責めた変わる僕を赦した 振り仰げば満天の星が一斉…
もういまはすべてが夢のようで歓びも痛みも細切れの記憶の中 会うたびに変わっていくねきみはしたたかに綺麗にもうきみはきみじゃない どんなふうにすきだったどんなふうに想ってた何もかも思い出せないどんな声で囁いてどんなきみを抱きしめてこれは夢だか…
朝まで眺めていた空願い事は何だっただろう お終いのくちづけに流れ落ちる涙はきりがなく きみを きみを誰よりも大切におもうから きみよ きみよどうか微笑んでいて 薬指に絡めた糸不器用な結び目は何度も解けて 一足ごとに振り向いては風花の街に影を探した…
外は寒くて部屋は狭くて仕事は退屈で地下道は窮屈で 朝は早くて夜は短くて電車は満員で財布は空っぽで なのに困ったな 幸せなんだ きみは西へ僕は東へまだ週末まで三日もあって なのに困ったな 幸せなんだ ただいまって抱き合うそれだけを待って 困ったなす…
行き先なんて要らないよ僕はどこへも 辿り着かない だって恋を連れて逃げたって胸が痛いだけ いつもいつも いつか散った羽根さ風に飛ばされたいつまでもやわらかい飛べない羽さ 抱きしめられて夢をみるよまぼろしのきみの まぼろしの夢 まわる酔いは不意に鮮…
言いたい言葉を奥歯で噛み潰すたびに涙が溢れた 涙が溢れた 飲みすぎて震えた夜もきみだけがすきだった だから笑った 忘れないよって何度も忘れられないよって 何度も 映りの悪いテレビをきみは何度か叩いてホラー映画には 目を瞑った 夕方の再放送のドラマ…
目を閉じていつかの夏の夢をみる きっと冷蔵庫より冷えたキッチンで 白い息を吐いてもこもこと着膨れして412円のワインで暑い昼下がり 日傘の柄くらい華奢な手を振った 横断歩道が溶ける国道の向う側 青に変わる瞬間どくんと音が鳴ってそれからどきどき って…
一頻り降った雪は白く僕らを閉じ込めて冷蔵庫みたいな部屋のここだけは温かな繭の中 互いの身体に腕をまわす幼い泣き顔を僕に埋める どれだけ泣かせてもどれだけ傷つけてもきみは僕のもの 細い指先の力がきみの悲しみを伝える我儘な胸が呟く強くも優しくもな…
輝きはもう遠ざかるもう冬の気配 手袋越しに細い指を握って赤い頬に触って いつでも確認する 淋しさを教科書の余白にノートの隅っこに 書いた頃より単純になったのか複雑になったのか 未来はここにあるのか いつでも確認する この場所は失くなりはしないのか…
袖口を伸ばして 寒そうに手を合わす夏の日焼けの名残を 冬が包む 今年最後の夜に終わりと始まりの鐘が鳴る きみを抱きしめる 手をとって歩く願い事ならいつでも 僕はきみの神様になる 誰に叱られても 上手には生きれない出来損ないの恋でも これがすべて き…
きみへ って細い文字で擦れた文字で ごめん ってすきだったことまだすきなこと 出逢いは どうだったとかこの先は どうだとか またね ってもうないのに分かってるのに ずっと って迷ったまま不自然な空白 あの夏は どうだったとか秋には どうしたとか さよな…
ロマンティックな雨が降るきみの願う道をわかってあげる心も体も僕のものならきみの選ぶ道をわかってあげる いまは全部が矛盾だらけでも僕たちの見てきたことしてきたことは 真実になるさ アイラブユーと言いたくて 言えなくて迷い方もわからない僕さ ロマン…
グラスを合わせて音を聴くふりをして 目を閉じた こんな夜なのに僕らは薄着で テラスでポケットで手を繋いで風に震えた きみの瞳 うるむライトもう一度 すきだと言って 霞む島影を指して無理をして甘い ジャメ・ビュ 泣くためだけの指切りを何度も 笑って嘘…
寒すぎる夜が嫌いだそんな夜にひとりでいることが嫌いだ 優しい言葉が嫌いだそれよりももっと喋りすぎる虚しさが嫌いだ よく晴れた星空凍る指先を伸ばすあれは、オリオン 先進という響きが嫌いだそんな国に生まれたことが嫌いだ 過去も現在も嫌いだちいさく…
うすく開けた助手席の窓吹き込む風はたぶんマイナス1℃ 渦を巻いて踊る紫煙きみの髪の揺れ方海岸沿いの R 2 THE A 寒いから閉めなよって言えば全開にしてそっぽ向く SEXY GIRL 溜め息も飛び去るスピード窓の外に逃げ出すきみがくちずさむ GAMES PEOPLE PLAY …
どんな気持ちで明日を迎えるのって欲しい答えはなんなの?優しい言葉は言えそうにないよこんな夜に こんな雨の夜に 見ようと言ったロードショーも終わって呼び出されたきみの部屋さ切り出したのは僕からだけど願ったのは きみだっただろう? 海からの冷たい風 …
バイバイ何を持って何を置いていこう バイバイまた鳴る鐘その終りと始まりに 伸ばした袖に息を吐いて冷たい空気に身を寄せ合って 仰いだ七つ星握りしめた未来そのはずだった僕ら バイバイ胸は痛い?痛いよ、相変わらずね いつかの年もこんなふうに永遠みたい…
何も言わないで 雪が音も無く 海に降るから このままで埋(うず)もれてもいいじゃないか このまま埋もれて死んでもいいじゃないか 冷たいてのひらに触れてきみは横を向いた照れたのか 困ったのかもう 分からないけれど 海へのゆるやかな坂を並んで下る途中さ…
いつも待ち合わせた店のいつもの席で給料の三ヶ月分 なんてふざけておもちゃの指輪をカウンターに置いた小さなガラスのダイヤモンド きみはちょっと微笑って薬指にはめた きみの住む部屋の窓の外には百萬ドルとかいわれてる夜景全然たいしたことなんかないの…
風に吹かれて きみを抱きしめる頬に触れる 桜色の 爪を齧る 夜明けを見よう 屋上にのぼってポケットには 凍るロゼ きみの好きな くちずさむ歌は 月へ飛ばして言い換えると ここにいて 僕に触れて 小鳥みたいに ついばみ合って冷えたカラダ 燃えるロゼ きみの…
これ以上 先なんかないって分かっていたけど僕が手をぎゅっと握るたびに きみははにかんだように微笑ったから つるつるに凍った道を見たこともないくらいはしゃいできみと走った 真夜中のオリエンタルペン型のエレベーター目指して 白い息を まるで汽罐車み…