さよならを心に隠して
きみは何でもない顔して
ルーフを叩く雨の音が
古い恋の歌を掻き消す
濡れた髪もかまわず
シートに凭れて口遊む
それは聞き取れないのか
僕が聞きたくないのか
この先の信号を右へ
次のカーブを曲がれば
色も音も無い海に
貼り絵の船だけが浮ぶ
もう何度となく
繰り返したのに
口づけも躊躇いも
初めてみたいに
たった一言で
ほんの一瞬で
沈黙の意味は変わると
知っていたから
願いも約束も
未来もこれきりも
上手く嘘にして
いつもみたいに笑って
すれ違うヘッドライトに
光の粒が弾けて踊る
きみの左目と僕の右目に
光の粒が弾けて踊る