『イントロダクション』

どうも、九月水曜です。

幼少の頃より、詩のような、詞のような、とにかく文章を書いています。
現在も僕の部屋の本棚以外に存在しているのか不明ですが、本を出しています。

『BGM』 文芸社 2002年

前時代的なHPもやっています。

きみと、夜と、琥珀のお酒。- you and the night and the scotch -

いろんな事がもう遠くなったからなのか。
2017年の、いまこの身を、一番軽く感じながら。

つれなのふりや すげなのかおや あのようなひとが はたとおちる

来世も、来来世も。

来来来世も。

アトモスフィア

ずいぶん長く
会えなかったけれど
話せなかったけれど

元気でいた?
それともまだ夜毎
赤い目を擦って

もう
笑えないかもって

もう
きっと笑えないかもって

悪い夢に
足を絡められて
きみをきみが縛って

今夜
星が降ればいい

祈りが
きみに届いたらいい

煌めく粒を
胸いっぱい吸い込んだ
白い吹き出しには

ほんとは
思いがぎっしり
張り裂けそうなほど

もう
笑えないかも って

今夜は
雨の匂い

立ち止まって
ポケットで手を繋いで
白い吹き出しには

二度と言えない
あんな言葉とか
こんな言葉

街灯の
消えた角で

今夜
星が降ればいい

辺り一面に
お祝いの日のケーキみたいに

今夜
星が降ればいい

祈りが
きみに届いたらいい

辺り一面に
お祝いの日の花火みたいに

violet fizz

2000円で朝まで飲み放題の
クズみたいな酒の処理機構の

夜には目を覚まして
喚き合う バーカウンター
5、10、15、
中ジャンをハイスピードで

負けて呷って横目で盗み見る
手を叩いて笑う掃き溜めの鶴

グラスには violet fizz
スミレ色の 偽の愛で
rain、rain、外は
ぐっしょりの秋霖の街

酔い足りないのか 泣き足りないのか
タクシーをつかまえて 腕を引っ張って

濡れた髪のまま シートに凭れて
呟いた行き先を いまも憶えてる

口づけた
意味は たぶん無くて

ただ雨が
光って 流れていた

グラスには violet fizz
スミレ色の 偽の愛で
June、July、August
戻れる角はとうに過ぎて

10月生まれは 美人が多い、と
夕方のワイドショーに 少し得意げに

鏡越しのウィンク ベッドに倒れて
出掛けて行く背中を ずっと眺めてた

指切りに
罪は いつも無くて

口づけた
意味は いまも無くて

見下ろす街
名前を そっと呼んで

また夜が
光って 流れていく

月の明かり

もう
嘘でいいから

言い掛けて
微笑みが
消えるのが嫌で

ハンドルを
南へ切る

また
夏を見ようか

何処かでなら
花火は
今夜まだ上がる

横顔に
月の明かり

恋の
始まりを思う

追えば
逃げて
少し
振り返って

突然の
雨の
高架下で
抱き合って

もう
嘘でいいから

この道を
果てまで
走っていこうか

カーラジオは
Strawberry Switchblade

細い
肩を震わせる

黒い
夜の
向こう
上がり続ける

音だけの
花火
この痛みは
もう違う

「また
夏を見ようか」

シートを浅く
倒して
下手な寝たふりの

横顔に
月の明かり

濡れた
睫毛を照らして

次は出逢わない

すべてを
きっと憶えておいて
次は
決して出逢わない

428号線の短い
トンネルを抜けたら
後は5回曲がるだけだって

何十ものカーブを無視した
雑な道案内で
辿り着いた坂の上には星が光ってた

またね って
振り向きもせず

すべてを
きっと憶えておいて
次は
決して出逢わない

散歩して喧嘩して
昼寝して絶交して
あのいつもの駐車場の隅

セルモーターを回させてって
車のカギをねだる
僕の背中の夕焼けを映した瞳が

問いかけた
答えを待たずに

またね って
小さく滲んだ

きっと
次は出逢わない
もし出逢っても
次は通り過ぎる

その口癖を
微笑みを
きっと憶えておいて

次は出逢わない
路地裏のネオン
次は通り過ぎる
港の夜の赤いタワー

きっと
憶えておいて
次は
決して出逢わない

ずっと
憶えておいて
二度と
逢うことのない世界で

きっと
憶えておいて

次は
決して出逢わない