『イントロダクション』

どうも、九月水曜です。

幼少の頃より、詩のような、詞のような、とにかく文章を書いています。
現在も僕の部屋の本棚以外に存在しているのか不明ですが、本を出しています。

『BGM』 文芸社 2002年

前時代的なHPもやっています。

きみと、夜と、琥珀のお酒。- you and the night and the scotch -

いろんな事がもう遠くなったからなのか。
2017年の、いまこの身を、一番軽く感じながら。

つれなのふりや すげなのかおや あのようなひとが はたとおちる

来世も、来来世も。

来来来世も。

永久機関

心変りは
してもいいと言った
まだ他に
何を謝るの?

会いたいのは
ただの惰性だと
その釘は
いつか役に立つ?

黒い海に遠く
どこまでも浮かぶ

揺れる船の灯り
纏わる熱帯夜

街の夜を
西へと走れば
喧騒は
波音に変わる

じゃあこれ以上
話すことは無いと
尖らせた唇は
誰の為のもの

夏のタバコの
重い煙を吐いて

須磨浦のガスト前
行き交うヘッドライト

別れ話も
前日までならって
まだ他に
何を躊躇うの?

会いたいのは
ただの惰性だ、と

惰性と慣性はもう
同じだよ

じゃあこれ以上
話すことは無いと
尖らせた唇で
それから笑って

じゃあ朝まで
少し眠ろうって
向こうの島が
霞んで浮かぶまで

向こうの島が
滲んで消えるまで

濡れて行こう

あそこで
傘を渡して

ここで
手を振った

思い出を
何度も辿って
また会えたらな って
灰色の空の下

駅前の
陸橋から

忙しく
吐き出される雑踏に

横顔を
見つけた気がして
足を止めようとした
一秒か二秒前

パタパタと
花時雨

早回しの
人波

あそこで
傘を渡して
きみは
ちょっと困って

僕は大丈夫
濡れて行くから
改札で
手を振った

じゃあまた って
またね って

互いに
何度も振り向いて

赤い傘は
あの頃と同じ

花の雨さ
濡れて行こう

名残り

名前を呼ばれた気がして
振り返れば
いつもと同じ夕焼けが
緩んだ風に霞む

ああ さっきの
うたた寝の間にみた
懐かしい夢のせいだな

もう新しい街にまぎれ
暮らしを変え
揃いの時計も失くして
すっかり別々なのに

まだ 名残りが
消え切らずに立ち昇る
ひとすじの煙のように

心に
あったのかな

いつかの
景色のまま

レールの軋みを数えて
窓の向こう
暮れていく街並みより
映る僕らを見てた

あれは そう
暑い夏の終わりで
何度目かの仲直りのあと

この信号が変わったら って
また次の
信号が変わったら って
繋いだ手も離せず

ああ 名残りは
閉じた瞼の裏にも
握りしめた手のひらにも

閑かに
潜り込んで

心で
赤く爆ぜる

名前を呼ばれた気がして

振り返れば
いつもと同じ夕焼けが
緩んだ風に靡いた

愛しているよ

取っておいたんだ
この言葉は
10年目のきみに
絶対に捧げようって

きっと言ったって
ちらりと見て
お好きにどうぞ
横顔だけで応える

だけどさ
そういうところが好きだから
まったく
しょうがないよね

ブランケットを取り合う
雨の午後に
決まって僕らは
夢の話をする

クリッターカントリーの庭に
おとぎの国の家
僕の好みはひとつも
反映されてないけど

まあいいさ
きみは何だかご機嫌だし
まったく
今日もやっぱり

ありったけ
きみは可愛い

だからさ
この日々の繰り返しが
どれほど
宝物かって、

長いあくびをして
肩にもたれる

まあいいや
おやすみのキスをして
まったく
今日も明日も

昨日もそれまでも
明後日もその先も

出逢った日からずっと
ずっと

愛しているよ

知ってるよ、って微笑う
きみを

それよりももっと
もっと

愛しているよ