濡れて行こう

あそこで傘を渡して ここで手を振った 思い出を何度も辿ってまた会えたらな って灰色の空の下 駅前の陸橋から 忙しく吐き出される雑踏に 横顔を見つけた気がして足を止めようとした一秒か二秒前 パタパタと花時雨 早回しの人波 あそこで傘を渡してきみはちょ…

名残り

名前を呼ばれた気がして振り返ればいつもと同じ夕焼けが緩んだ風に霞む ああ さっきのうたた寝の間にみた懐かしい夢のせいだな もう新しい街にまぎれ暮らしを変え揃いの時計も失くしてすっかり別々なのに まだ 名残りが消え切らずに立ち昇るひとすじの煙のよ…

最後のまるい月

ほらね マボロシと踊るよ一途な夢も消えるよ期待もせずに ただ何度でも深夜のテレフォン きみを誘うよ さあね 泣いたりもしたよ悲しい夜もあったよ記憶なんかは あてにならないそれより今日は 五月晴れだよ 何でもいいから 海が見たいな言い訳なしで きみに…

Honey moon

サングラスは要る?サンオイルは要らない? 雑踏を泳ぐ朝夕のラッシュカレンダーにも腕時計にも飽き飽きしてもういいじゃんたまにはいいじゃん梅雨もまだ先のバカンス 低迷が続く軟弱な気温トリハダで心臓マヒ確定のダイブでもいいじゃんなんでもないじゃんき…

My Favorite iTunes

最近はわりと楽しくもある仕事から帰ったらマシンを立ち上げてディスクに音符のアイコンをクリック My Favorite iTunesMy Favorite iTunesプレイリスト「ヘビロ1」から My Favorite iTunesMy Favorite iTunesプレイリスト「ヘビロ2」へと 最近はいつも僕より…

もう見ることは無いと思った夜明け

忘れはしないけど二度とは伝えない この胸を叩く雨叫ぶように身を任せて 花の終りの纏わりつく甘い空気振り払っても振り払っても 何処へも行かない捨て鉢な口癖も 炭酸の泡の最後の消えた音も 忘れはしないけど二度とは浮かべない 赤信号の向う一度さえ振り…

天女

羽衣を隠して 嘘をついた 知ってた?きみが信じてる偶然は全部ただの努力だった ほんとならすれ違うだけの他人だからそんなにも泣かないで いいんだ全部知ってたんだ 始めから運命なんかじゃなかった 羽衣を隠して 嘘をついた 羽衣を隠して 嘘をついた ただど…

アブラカダブラ

履き潰しかけのスニーカー持って2階の窓から抜け出した真夜中アブラカダブラまずは滑って落ちないように 丑三つ刻いろんな魂が行き交うって いいんだ僕はすでに取り殺されてる どこまでも意地の悪いカオしてそうやって笑ってたらいいさアブラカダブラその面…

これが春だというならなんて悲しい季節 さくらも咲かない木の下で冷たい別れをしていまはひとり この場所で無重力に漂っている 見えない力に壊されないように心を尖らせる 青い春 きみをすきだからまた会おうねと言ってもどんなに約束してもきみには二度と会…

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社会生活に手探りの参加負け犬にさえなれず虚しい遠吠えそうじゃない目指すものが何もないのは悪いことじゃない寧ろ良いことだと でも全部は無理なんだよ無理は嘘なんだよそんなことばかり 甘やかしに慣れてばっかり 赤いシグナルがチカチカ逃げ込める腕を僕…

四次元遊泳

小さな夜の片隅で僕らは猫の真似をして言葉もなく寄り添い合う朧月に照らされて ふと明け方の迷宮夢の怪物に追われて息切らせて逃げ込むんだそこはまるで 未来のロボットのポケットの中何だってあるんだ不可能なんてないんだ その温かさに頬を埋めて不安の影…

ほんの数センチ

気温がまた上がって再生ボタンが押される 擦り切れて擦り切れて雨降り映画のような あんまり青い空だから錯覚した奇蹟はこの手のほんの数センチ先にあるって 梅雨の晴れ間だって天気予報が言ってた 目の奥で目の奥で小さな日傘が揺れる あんまり青い空だから…

諦めたのかもしれない

こんなふうに偶然逢うのはもしかしたら、初めてだね 視線を逸らしたのは僕だった春の海は黙っていた突然の涙の理由を僕はなんて言ったのかも忘れた 彼女はお茶を飲もうと笑った懐かしい声は震えていた 遠い夜明けを思い出してその青さに目が眩んだ あの夜に…

ABC

“すべての始まり”だなんて笑っちゃうよ ってその口の悪さは淋しいから? なんて 分ったふうに 微笑んだりしないで「生まれつきさ」 声が震えたのはきみがキレイだから 精一杯 不機嫌なふりしてその裏側を きっと知られてる A 見つめ合ってB もう躊躇ってC あ…

アイ・ニード・ユウ

これから出逢う未知なものより失くしたものが欲しいのさここよりどこへも行かないのさ時間はただのオブザーバー 輝く未来があるとしても愚かな過去が欲しいのさ大事なことはそれぞれなのさぼくには無駄なサブリミナル エル・オウ・ヴイ・イイ きみへの暗号を…

きみだったんだよ

出逢えて嬉しかったってきみはそれだけ言った解らなくていいから 最後まで聞いて青春なんて言葉がもし本当にあるならそれはきみだったんだよ 夏に投げたコインはいまも胸の奥で転がる表は出ないまま いつまでも揺れる夕暮れのプラットホームいつか見たような…

My Girl

夏前の 宵闇のなかまどろみ始めるきみの隣で 風を見ていた きみの甘い香りで心は満たされる子供のように 胸を鳴らす 星が輝き 僕ときみは影になるきみの前髪を風が揺らす 何年も何年も 空虚な僕まだ見ぬきみ訪れた出逢い 僕の "My Girl" すべての予感 すべて…

片恋

カーテンが開いたなら始めよう観客は 泣きじゃくるきみ 綱を渡って 玉に滑って背中から 花束を 取り出して なんでもいいよ 言ってごらんよいまきみが 欲しいもの彼だって 何だって 取り出してみせるよ サーカスのピエロでも惜しみなくきみのその 微笑みのた…

天国の端

積み上げた心を 波がさらう一瞬のうちに どこか遠くへ 継ぎ接いだ言葉を 風が嗤う夢の場所へは 辿り着けずに 眠るために訪れた 遠いいつかの海辺横顔と 薬の白さにためらってそれでも 飲み下した決意は苦く 眠る 夢はできれば無であるように祈る 心はできれ…

きみは笑え

緩みだす風が運ぶ微かな潮の香りと錆びた踏み切りの軋み 涙が出そう ってきみが呟いた夜明けだから憶えてる夜明け 僕は綴る僕の胸を締めつけて離さないそんなものをずっと綴る腕に抱きしめる代わりに 色を重ねていく空消え続ける星屑足元まで寄せた波 崩れち…

ねがい

連れていってくれと願った言葉は風に消されたあいしていると言った声がいつまでも 耳に残った 春の終わり 雨は降り続け街は動き続け 僕は狂い続けた 何も見ずに 何も聞こえずにきみの姿だけを 僕は捜し続けた 連れていってくれと願った未練は何もないからこ…

1985年のカメレオン

記憶の中の夕焼けはいつもとても赤いんだ それは僕の擦りすぎた瞼のせいかもしれないけど 別れ際ばかみたいに何度も振り向いて夢を見たっけ ポータブルのラジオから流れてきたポップソング "赤・金・緑 赤・金・緑"僕のすきだったカメレオン ジンクスをかき…

東京ディズニーランド

これが最後だねって笑い合ったアトラクションミッキーマウスが踊る 白雪姫は眠るネバーランドを目指す 僕たちはゴンドラに乗る カリブで海賊たちは戦いお伽話はトゥーンタウンに潜むきみの声がすきだ その笑顔がすきだ言えないけど 明日も明後日もその先もず…

78.6MHz

ちょうど10年前 ラブソングまるで僕らだって 浮かれて 無邪気な看板に 鉄柵に 枕木に八つ当たって 乗り越えて 寝転んで ばらばらにしろよ ってしてよ ってどうしようもない純情を受け止めるフリで いろんなものを投げて 捨ててまだいまも駆ける 欠ける 月願…

Spring Beauty

恋のしすぎで死ぬかも なんてきみを見つめながらおもう照れたようにこっちを向くその視線の先に 僕はいないけど なんできみはそんなに綺麗なんだろうなんできみの声はこんなに僕に響くんだろう なにひとつ うまく言えたことなんかないなんで僕はまだ大人じゃ…