いつかの雨の、夜の2国の

さよならを心に隠してきみは何でもない顔して ルーフを叩く雨の音が古い恋の歌を掻き消す 濡れた髪もかまわずシートに凭れて口遊む それは聞き取れないのか僕が聞きたくないのか この先の信号を右へ次のカーブを曲がれば 色も音も無い海に貼り絵の船だけが浮…

濡れて行こう

あそこで傘を渡して ここで手を振った 思い出を何度も辿ってまた会えたらな って灰色の空の下 駅前の陸橋から 忙しく吐き出される雑踏に 横顔を見つけた気がして足を止めようとした一秒か二秒前 パタパタと花時雨 早回しの人波 あそこで傘を渡してきみはちょ…

violet fizz

2000円で朝まで飲み放題のクズみたいな酒の処理機構の 夜には目を覚まして喚き合う バーカウンター5、10、15、中ジャンをハイスピードで 負けて呷って横目で盗み見る手を叩いて笑う掃き溜めの鶴 グラスには violet fizzスミレ色の 偽の愛でrain、rain、外は…

dead end

やっぱりってダッシュボードに置いたイニシャルを刻んだ銀の指環 ごめんねってどしゃ降りのあの道目一杯踏み込んだアクセル 危ないから ワイパーをまわしてってきみは言うけど どのみち僕には この先なんて何も見えやしないんだよ 泣き顔で精一杯微笑んで無…

もう見ることは無いと思った夜明け

忘れはしないけど二度とは伝えない この胸を叩く雨叫ぶように身を任せて 花の終りの纏わりつく甘い空気振り払っても振り払っても 何処へも行かない捨て鉢な口癖も 炭酸の泡の最後の消えた音も 忘れはしないけど二度とは浮かべない 赤信号の向う一度さえ振り…

ラブレター

繋いだ手を離さないで離さないで 瞬きで 消える夜にはきみの声を聴かせて 雨にうたれながら星を探す僕の囁きにきみが微笑う走り過ぎる車のライトが たまにきみの薬指を照らす 夜は いつまでも蒼いいつまでも蒼い 雨にうたれて星を探すきみと覚えた歌をくちず…

ねえ

ヘッドフォンから静かにあの夏のあの響き 耳で胸で追うのさもう聞こえない囁き ねえ、そう話しだす時はいつも終わりの予感がした 「分かってるからいいんだその先はまだ今は」 涙のように夕立零れて落ちた横顔 ねえ海が見えるカーブで僕は時計の針を止めた …

カプセル

夏が気配を潜めた次の季節を雨音が連れてくる 空模様はまだ低気圧何処かではまた暴風雨 光る画面で言葉遊び僕は現実と仮想現実を行ったり来たり 画素の粗い動画で誰かが世界は自分のモノだって歌ってた そんなもの僕は要らないなどちらかというと小さなカプ…

routine

何も見ず 何も聞かず動きつづける ぼやけた日常はただのroutine 揺れる絡む廻りつづける 星々は流れる 降りしきる 雨の音が身体に染み込むほどもうずっと 長い間誰を待っているのだろう 思い出は いつもいつも薄曇りの日曜やさしくも 悲しくもなれないまま …

take a bow

明け方の雨に打たれて凍えるよきみが追いかけて来ないなら僕はこのまま消えて無くなるよ行き止まりの標識にきみは何を見たんだろう この道路を横切ってあの線路を越えたらもう海だよ 信じられる? 解ってたことでしょうなんてそんな表情で言うもんじゃないよ…

rainy

飲み込んだはずの言葉を声にしてしまったらあとからあとから想いが溢れてきて 一度きりだったはずの夜は始まりだったと気づいて消しても消してももう元には戻れない 降り出してから気づく雨のように空を見上げる頃には僕はもうびしょ濡れで 縋るように追う視…

何度でも笑って

あなたが忘れない分、私が忘れるの相変わらず、いい性格だねなんて今夜は なんだか明るい電話それで答えは どっちに転ぶんだろう あなたも困るって、ちゃんと知ってるのそうじゃないと、きみが困るでしょうときどき笑う 遠回しな言葉でほんとの気持ちは どこ…

ロマンティックな雨が降る

ロマンティックな雨が降るきみの願う道をわかってあげる心も体も僕のものならきみの選ぶ道をわかってあげる いまは全部が矛盾だらけでも僕たちの見てきたことしてきたことは 真実になるさ アイラブユーと言いたくて 言えなくて迷い方もわからない僕さ ロマン…

観覧車

きみは何か 言おうとしたまま下を向いた ここは観覧車降り出す雨 人影の消えた 遊園地で 塞ぎ込むふたり 好きなだけ濡れて心まで濡れて 言葉もなく 激しくなる 雨から逃れて滑り込んだ 狭い観覧車思い出には ならない言葉をできるなら 聞かないでいたい 不規…

モクセイ

ベルの音のむこう泣き顔が見える少しためらって やさしい言葉を探す間に合わずに 金銀のあまい木犀の香り胸をつまらせて さびしい視線を逸らす冷えた頬に 雨よ 降るな僕の大すきな女の子を 濡らすな 眼を伏せて焦がれる帰り際の笑顔確かめたいのに 最後の夜…

夏が泣く

夏の雨 こうして身体に受けるよ思い出を ひとつひとつ流していくんだ 夢に見た 再会とはいかなかったけど別れ際の 笑顔は胸に突き刺さった 昔よりはもっと うまく言えると思った汗ばんだ手を ジーンズで擦って何度も擦って すきなひとがいるって きみはまた…

1104

どんな気持ちで明日を迎えるのって欲しい答えはなんなの?優しい言葉は言えそうにないよこんな夜に こんな雨の夜に 見ようと言ったロードショーも終わって呼び出されたきみの部屋さ切り出したのは僕からだけど願ったのは きみだっただろう? 海からの冷たい風 …

天気雨

後ろに隠したものを見せてよ手の中に握りしめてるものを見せてよ 本当の気持ちを言ってよくすくすとそうやって笑ってないで言ってよ あまいあまい歌の向こうに僕らが見たものは天気雨に消えるんだ いつもそうだったろ? 親指を立てて人差し指を伸ばしてきみを…