2021-01-01から1年間の記事一覧

いつかの雨の、夜の2国の

さよならを心に隠してきみは何でもない顔して ルーフを叩く雨の音が古い恋の歌を掻き消す 濡れた髪もかまわずシートに凭れて口遊む それは聞き取れないのか僕が聞きたくないのか この先の信号を右へ次のカーブを曲がれば 色も音も無い海に貼り絵の船だけが浮…

2021/04/23

知っていたその匣の封印を解いたら 閉じ込めた夕立と短い口づけと そのあとの青空も涙も ごめんね と動いた唇も 何一つ受け止められないと 知っていた同じ言葉でも違う心だと 知っていたどの物語でもずっと脇役だったと

2021/04/18

過去を思う未来を思うパラレルの世界を想う 生を思う死を思う三叉路の果を想う 悪にも善にも倦んで膿んで 仮想の仮装の空間の亡霊の 声も聞ず姿も見ず身一つで身勝手に 季節の端に昼夜の隅にいまも潜むきみを詠う

2021/03/21

心と頭で裏をかき合ういつまで言葉に無を纏わす 何が本当かわからない願いは遠くに見える山の あの夜になりかけの辺り いつかの夜になりかけの辺り

2021/02/17

約束で外堀を埋めて此処にいる だからって逃げられないと思ってるの 真夜中そろそろ酔いも回って 赤い甘い嘘によく似た 記憶を辿る空を飛ぶフリで だいじょうぶなんの翼も無いから 取り出したるは千本の針 だいじょうぶタネも仕掛けも有るから

2021/01/17

僕と君の7年間が 少しずつ変わっていく 絶対に譲らなかったワガママを 堪えてそっぽを向く 寝言で甘えて鳴く ダメの化身みたいだった 君を忘れないよ 次にきっと逢えたら 今度はずっと末っ子でいさせるから 鳴かないで泣かないで 君を愛しているよ

2020/12/28

遊びのルールも勝ちの定義も選べたのに 実より名が好きな人間がどうやら多い ところでそっちは賑やかそうだ 空腹も重力も地上に棄てて

2020/12/23

古いテレビが 砂嵐になる頃やっと眠る 盗んだボトルで 血中のアルコール濃度満杯にして 綴った手紙は 一度も誰にも出さずに 夢を見てた 望む姿で望まれる姿で 夢を見てた 病める時も健やかなる時も

2020/12/21

細い煙草に火を点けて白い呪文を吐き出して もう忘れてしまえそうで最後にその名を呼ぶ もう忘れてしまえそうで一度だけその名を呼ぶ 吹き溜りの夜の最初に僕を愛した 細い煙草に火を点けて もう忘れてしまえそうで 白い呪文を吐き出して 一度だけその名を呼…

2020/12/06

役回りは、きっと。 隕石や、氷河期や、磁気嵐や、そっち側。 究極に、それが何? 生きる、殺す、立ち止まる、進む、振り返る、忘れる。 そうやって、亡んでく。 死にゆく僕も、死にゆくみんなも、がんばれ、がんばれ、 間違いついでに。乱痴気ついでに。

2020/11/30

これが最後こんな夜はね 一生に一度二度、三度 知ってる嘘吐きだからねなのに抗うからね 始末に負えないそのメモリーを消すのが罰なのか 消さないのが罰なのかいっそ 失くすとか壊すとか 全部忘れるとか全部 全部全部 全部 全部

2020/11/27

その列には並ばないそこに求める物はない 並ぶ者にも何もない 網中の 灰色の 人影のいっぱいの 空っぽの 欲望の 吹出しの 山積みの 掃溜めの有象無象の 劣等発の そのバスには乗らない手の鳴る方へは行かない 鳴らない方へも行かない 開闢の 歪形の 果ての成…