2021-01-01から1年間の記事一覧
さよならを心に隠してきみは何でもない顔して ルーフを叩く雨の音が古い恋の歌を掻き消す 濡れた髪もかまわずシートに凭れて口遊む それは聞き取れないのか僕が聞きたくないのか この先の信号を右へ次のカーブを曲がれば 色も音も無い海に貼り絵の船だけが浮…
知っていたその匣の封印を解いたら 閉じ込めた夕立と短い口づけと そのあとの青空も涙も ごめんね と動いた唇も 何一つ受け止められないと 知っていた同じ言葉でも違う心だと 知っていたどの物語でもずっと脇役だったと
過去を思う未来を思うパラレルの世界を想う 生を思う死を思う三叉路の果を想う 悪にも善にも倦んで膿んで 仮想の仮装の空間の亡霊の 声も聞ず姿も見ず身一つで身勝手に 季節の端に昼夜の隅にいまも潜むきみを詠う
心と頭で裏をかき合ういつまで言葉に無を纏わす 何が本当かわからない願いは遠くに見える山の あの夜になりかけの辺り いつかの夜になりかけの辺り
約束で外堀を埋めて此処にいる だからって逃げられないと思ってるの 真夜中そろそろ酔いも回って 赤い甘い嘘によく似た 記憶を辿る空を飛ぶフリで だいじょうぶなんの翼も無いから 取り出したるは千本の針 だいじょうぶタネも仕掛けも有るから
僕と君の7年間が 少しずつ変わっていく 絶対に譲らなかったワガママを 堪えてそっぽを向く 寝言で甘えて鳴く ダメの化身みたいだった 君を忘れないよ 次にきっと逢えたら 今度はずっと末っ子でいさせるから 鳴かないで泣かないで 君を愛しているよ
遊びのルールも勝ちの定義も選べたのに 実より名が好きな人間がどうやら多い ところでそっちは賑やかそうだ 空腹も重力も地上に棄てて
古いテレビが 砂嵐になる頃やっと眠る 盗んだボトルで 血中のアルコール濃度満杯にして 綴った手紙は 一度も誰にも出さずに 夢を見てた 望む姿で望まれる姿で 夢を見てた 病める時も健やかなる時も
細い煙草に火を点けて白い呪文を吐き出して もう忘れてしまえそうで最後にその名を呼ぶ もう忘れてしまえそうで一度だけその名を呼ぶ 吹き溜りの夜の最初に僕を愛した 細い煙草に火を点けて もう忘れてしまえそうで 白い呪文を吐き出して 一度だけその名を呼…
役回りは、きっと。 隕石や、氷河期や、磁気嵐や、そっち側。 究極に、それが何? 生きる、殺す、立ち止まる、進む、振り返る、忘れる。 そうやって、亡んでく。 死にゆく僕も、死にゆくみんなも、がんばれ、がんばれ、 間違いついでに。乱痴気ついでに。
これが最後こんな夜はね 一生に一度二度、三度 知ってる嘘吐きだからねなのに抗うからね 始末に負えないそのメモリーを消すのが罰なのか 消さないのが罰なのかいっそ 失くすとか壊すとか 全部忘れるとか全部 全部全部 全部 全部
その列には並ばないそこに求める物はない 並ぶ者にも何もない 網中の 灰色の 人影のいっぱいの 空っぽの 欲望の 吹出しの 山積みの 掃溜めの有象無象の 劣等発の そのバスには乗らない手の鳴る方へは行かない 鳴らない方へも行かない 開闢の 歪形の 果ての成…