秋
2000円で朝まで飲み放題のクズみたいな酒の処理機構の 夜には目を覚まして喚き合う バーカウンター5、10、15、中ジャンをハイスピードで 負けて呷って横目で盗み見る手を叩いて笑う掃き溜めの鶴 グラスには violet fizzスミレ色の 偽の愛でrain、rain、外は…
リゾートホテルの広いバスタブで三度目のハッピーバースディ'sキスして 目覚めた今日の行き先は夢の国の夢の海まずはあのタワーへ 今なら20分待ち大急ぎで回廊を抜けてシリキ・ウトゥンドゥの謎を解いて 手を振って 急降下その前に 笑顔でピースサイン 次の…
30分早い開園空は青 雲は白アーケードをくぐって着ぐるみを横目にスペース、スプラッシュ、ビッグ・サンダー得意げな横顔のグランドサーキット・レースウェイ 次はどうする? ってパークの地図を広げてモンスターズインクにがっかりスタージェットにもがっか…
あの岬から撫でるように吹く風を浴びたくてここへ来たんだ 景色はいらないから僕は眼を閉じる瞼に感じるオレンジ名残は甘く 熱くこの胸を締めつける ひとりは厭だと拗ねて泣けばすぐに絡みつく白い手幻で構わないなんてもう絶対に言わないよ 過ごした時間は…
夏が気配を潜めた次の季節を雨音が連れてくる 空模様はまだ低気圧何処かではまた暴風雨 光る画面で言葉遊び僕は現実と仮想現実を行ったり来たり 画素の粗い動画で誰かが世界は自分のモノだって歌ってた そんなもの僕は要らないなどちらかというと小さなカプ…
このまま何もかも放り出してどこかへ行かない? いまなら無人島へでもいいよ私と行かない? 2杯のビールで酔ったふりして昔話とめどなく笑って 肩に字を書いて当ててみて って僕の名前繰り返し書いて 駅まであの頃みたいに手を繋いでくれない? そしたらもう何…
世界の果てまでこの世の終わりまで求めるものが分らないから大袈裟な言葉を振り回すんだ 次から次へと浮かぶレトリックに空っぽのままいい気になって足元はほら もう断崖 吹きつける風に震えて立てば十六夜の月明かりに浮かび上がるゴースト 過ぎたのか重ね…
僕を撃ち抜いてマシンガンあの娘の微笑みが弾丸 古いアメリカの映画を気取ってカメラの前でボニー&クライド もう全身全霊で夢中眠る街 眩しい月息潜めた唇の至近距離 騒がしいボーリング場のジュークボックスに耳をつけて 日捲りみたいにポラロイドパラパラ…
時は流れ 巻いたネジはもう僅か オルゴール 耳に残る 囁きが胸で遥か センチメンタル なんで失くしてばかりなんだろうってなんでこんな思いばかりなんだろうって 込み上げては 飲み込むだけ一言さえ 話せなかった 掌だけ 時に素直繋いだ手を 離せなかった 困…
もう忘れてた?不意に鳴って悪戯に囁くTEL 答えがイエスでもノーでもどうせ同じなんだろう? その向こうの波音に耳を澄ませた 寄せる返す足もとまで届きそうな ずぶ濡れで叫んだ燃えるようなオレンジのなか 高く 鳥の声 答えがイエスでもノーでも同じなんだろ…
狂ったような夏が終わって何処かからピアノの音 それよりも僕はメトロノームに耳を澄ませるコツコツ、とそれはいつかの足音 目を閉じれば懐かしい部屋伸び切ったテープから秋の気配 きみの好きな場所なんてもう忘れてしまったなコツコツ、と今も迷子の足音 …
言えない言葉が 訊けない言葉が胸を責める きみとふたり同じこころを 違う炎で焼かれてる 慰めの花で部屋を飾るせつない一日が終わる 心できみに何度もあいしてると言う何度も さよならと言う 不意に きみが出逢う前に戻りたいと言うそれは 僕をあいしている…
きみの背中を見送って 見えなくなってから行方をうらなって きみを追いかけた きみが眠り込んでから 息をひそめておでこと頬とくちびるに 何度もキスをした きみと出逢ってからずいぶん経つのに未来の約束もたくさんしたのにずっと 片思いみたいな恋 胸があ…
ベルの音のむこう泣き顔が見える少しためらって やさしい言葉を探す間に合わずに 金銀のあまい木犀の香り胸をつまらせて さびしい視線を逸らす冷えた頬に 雨よ 降るな僕の大すきな女の子を 濡らすな 眼を伏せて焦がれる帰り際の笑顔確かめたいのに 最後の夜…
波音はもう消えて 西風が近づいて退屈な夏は過ぎ 空がまた高くなる 僕たちはもう二度と 微笑みで逢えないと痛いほど分かるから 「さよなら」はいらないよ 真夜中に 鳴り続けたテレフォン伝えたいことなら もう分かっているからきみはきみでいればいい いつか…
ハンズ横の雑居ビルエレベーターが開く 僕と誰かを運ぶ2:00am記憶が弾け飛ぶフロア9F コマ送りのフィルムを眺める幕開けは湾岸で火花 「僕はありえない制服を着てた」横顔だけで応えて 不安定な止り木で足を組み替える金星 目を伏せて夜は魔力に満ちた コマ…
どうしてなんて 訊くのもおかしいね今夜は始めから 別れの流れだね相変わらず 空には月 もういいからいつもみたいに笑いなよ またもお決まりの スコッチの夕べはきみが思うほど 悪くはないんだよあまり長く 片思いだと それはそれでどれも甘いエピソードばか…
鍵盤に指を落としもう上手く動かない手で何を掻き集めて何を解き放とう 忘れていたはずの約束をまた思い出してまた忘れるためにまた思い出して 遠い日の モデラート小さな窓辺の僕らが逆光で見えない いつか行こうと笑ってくるくると回した地球儀天空の遺跡…
肌寒い 午前零時会えないと 一日が長いもうきみは 眠ってるね まだいまも僕の夢を見るだろうか 取り戻せないユメはどこに落としてきたの 幼さの 残る寝顔もう二度と 見れないのかもねあの頃は ふたりいれば それだけで幸せだと思えたのに 死ぬほどスキと泣い…
指切りして 悪酔いして骨まで融けそうな日差しのなか目を細めて 空を仰いできみは たぶん、と言った 空のボトルを不意に投げつけてこのままじゃ駄目だといつまでもは無理だと夏は終わりだと言った 知ってるよ もう何回も聞いたよ知らないよ だってきみといた…
熱いコーヒーを淹れて並んで星を見ようまだ残る酔いのまますきと囁いた 十月 出逢いの景色をきみは憶えてる?こんなふうな夜だったね星が怖いほど 光って ああ 時の流れは早いね何も変わっていないと信じるのは 難しいね 開け放した窓から金木犀が香る涼しい…
その髪に触れて そっとくちづけてきみの心を知りたい 眠り込むきみ やわらかな息同じ夢がみたい きみのバースディ 海辺の午後空は青く眩しく今年最後の入道雲 こんな日は 永遠が見える雲の隙間に天使が隠れるこんな日は 永遠が見えるよきっと きみにもわかる…
後ろに隠したものを見せてよ手の中に握りしめてるものを見せてよ 本当の気持ちを言ってよくすくすとそうやって笑ってないで言ってよ あまいあまい歌の向こうに僕らが見たものは天気雨に消えるんだ いつもそうだったろ? 親指を立てて人差し指を伸ばしてきみを…
夜明けの裏通りを野良猫に声をかけながら走って僕らは僕らでいるんだと大声で 笑って朝のなかを走って 時間なんて知らないと未来なんていらないとそうやって 生きていくんだと淋しい僕らは駆ける うたかたの夢と わかってて かき集めて そして抱き合って く…