きみがすきで泣きたくなる

夜明けの裏通りを
野良猫に声をかけながら走って
僕らは僕らでいるんだと
大声で 笑って
朝のなかを走って

時間なんて知らないと
未来なんていらないと
そうやって 生きていくんだと
淋しい僕らは駆ける うたかたの夢と 
わかってて かき集めて

そして抱き合って くちづけて
ずっと一緒にいようよ
いつまでも このままでいようよ
なんて たまに言ってみる
たまに 深い気持ちで

止みかけの細い雨を受けて
泥だらけの靴で走って
躓いた振りして 水溜りに飛び込む
きみを困らせたくて
何にだって飛び込む

酔ってなんかいないと
だけどもう歩けないと
泥のなかで 駄々をこねて
泣きたい気持ちになる
きみがすきで 泣きたくなる

白い袖で 僕の頬を拭いて
何も言わずにきみは微笑う
そして抱きしめる くちづける
心が何処にあるのかは 言わないで

約束なんて知らない
真実なんていらない
同じように汚れて 同じように光って
淋しい僕らは駆ける 離れないために
それとも 離れるために

夜明けの裏通りを
息をするのも忘れて走って
僕らは僕らでいるんだと
滲む景色に 叫んで
何度も叫んで

きみを振り返って 手を伸ばして
泣きたい気持ちになる
きみがすきで すきで 泣きたくなる