KOBE,1991

ハンズ横の雑居ビル
エレベーターが開く

僕と誰かを運ぶ2:00am
記憶が弾け飛ぶフロア9F

コマ送りのフィルムを眺める
幕開けは湾岸で火花

「僕はありえない制服を着てた」
横顔だけで応えて

不安定な止り木で
足を組み替える金星

目を伏せて
夜は魔力に満ちた

コマ送りのフィルムを眺める
優しい雨だれの空耳

縦長の明かり取りには
色づき始める KOBE,1991

明け方の鳥の影が
狭い空を横切る

冷たい夏を過ぎて
その年 大国が消えた