馬鹿な僕ら

狂ったような夏が終わって
何処かからピアノの音

それよりも僕は
メトロノームに耳を澄ませる
コツコツ、とそれは
いつかの足音

目を閉じれば懐かしい部屋
伸び切ったテープから秋の気配

きみの好きな場所なんて
もう忘れてしまったな
コツコツ、と今も
迷子の足音

思い出したりしない
口癖も その微笑みも
別れの空も 振り返りたかった気持も

それよりも僕は
ずっと夢を見ているんだ
どんな? って
馬鹿な僕ら

願いは捨てたんだ
きみのために なんてね
僕は逃げたんだ 傷ついた振りで

責めていいんだ
きみのために だなんて
ただ臆病なファイナルアンサー

狂ったような夏が終わって
何処かからピアノの音

思い出したりしない
温もりも 僕を包んだ
甘く白い その両の腕も

思い出したりしない
口癖も その微笑みも
その向うの空も
耳元で呟いた言葉も

いつまで? って

ずっと
馬鹿な僕ら