森羅万象

窓の外がたとえば一面の雪でも
僕の心は真夏へ飛ぶ
僕の時間をきみが止めた
恋はいつも そこにだけあるんだ

夜通しのから騒ぎを 焦燥を
この手が忘れない
きみの眼を 声を 微笑みを
この胸が忘れない

だから紡ぎだす文字は
夏で 片恋で きみなんだ
笑ってもいいよ きみにとって
もう僕は風景のひとつだと

手を替え品を替え 僕を捉える
ポケットにはいまも あの夏の砂
笑ってもいいよ 逃げ切れずに
焦れつづける胸の焔を

窓の外がたとえば満開の桜でも
僕の心は真夏へ飛ぶ
堕ちる先は何処だっていいんだ
きみだけが 僕だけの 森羅万象

夜毎見た浅い夢を 欲望を
この手が忘れない
痕になるほど 抱きしめたきみを
この胸が忘れない

流す涙は川になる 舟を浮かべて
きみに辿り着けるなら なんてね
笑ってもいいよ あまい夢を
捨てられずに泣く無様な僕を

笑ってもいいよ 夏の砂を
握りしめて泣く無様な僕を

窓の外がたとえば黄金の森でも
僕の心は真夏へ飛ぶ
僕の時間をきみが止めた
恋はいまも そこにしかないから

堕ちる先は何処だっていいんだ
きみだけが 僕だけの 森羅万象