きみは何か 言おうとしたまま
下を向いた ここは観覧車
降り出す雨 人影の消えた
遊園地で 塞ぎ込むふたり
好きなだけ濡れて
心まで濡れて 言葉もなく
激しくなる 雨から逃れて
滑り込んだ 狭い観覧車
思い出には ならない言葉を
できるなら 聞かないでいたい
不規則に揺れて
心ごと揺れて このまま
あの夏まで時を戻して
祈るように 抱き寄せてみる
だけどきみが辛いだけなら
腕をほどく 言葉をはやく
やさしさなら もう無理はいいよ
下っていく 軋む観覧車
「言っていいよ」 覚悟はしてても
あまい夢を また見てしまう
好きなだけ泣いて
今日だけは泣いて
この雨に濡れて
心まで濡れて さよなら
この角度で時を止めて
観覧車が 傾くたびに
この角度で時を止めて
祈るように 抱きしめてみる
あの夏まで時を戻して
観覧車が 傾くたびに
力の無いぎこちない手で
精一杯 抱きしめてみる
降り止まない 夕立を受けて
僕らだけが 動けないでいる
見つめ合った 視界の隅で
観覧車が ただ廻っている
見つめ合った 視線の奥で
あまい夢を また見てしまう