甘い眩暈

目を閉じて
いつかの夏の夢をみる

きっと
冷蔵庫より冷えたキッチンで

白い息を吐いて
もこもこと着膨れして
412円のワインで
暑い昼下がり

日傘の柄くらい
華奢な手を振った

横断歩道が溶ける
国道の向う側

青に変わる瞬間
どくんと音が鳴って
それからどきどき ってして
甘い甘いめまい

目を閉じて
もうすぐ足音が響く

冬の
デートですか? って訊いた

あのコートごと抱きしめて
ずっと甘いめまい