きみがすきだった
あの頃なら いまよりきみに近かった
伸ばせば 届いていたかもしれない
この手は 嘘ばかりを書く
何度か合った眼を あの角度を
僕のものにした
夏の記憶に閉じ込めて 激しい雨
眠れば きみの夢をみる
なにかは溢れて なにかが足りなくて
息苦しいほどふたりで
灼けた真昼 僕らは出逢った それとも
出逢わなかった?
憶えているのは
透けるような はにかんだ白い笑顔
触れれば きっと消えてしまった
この手は 無ばかりを掴む
心だけは 心だけは 時間を
止めてしまえるほどのわがままさで
きみを何もかも焼き尽くす 逆光線
微笑む 真夏のまぼろし
いつかは零れて いつかが待てなくて
切り裂く胸はやわらかで
滴る血は 鮮やかな赤 それとも
ただの涙?
溶けた真昼 僕らは出逢った それとも
出逢わなかった?
きみがすきだった
あの頃なら いまよりきみに近かった
伸ばせば 届いていたかもしれない
この手は 嘘ばかりを書く
伸ばせば 届いていたかもしれない
この手は 嘘ばかりを書く