XYZ

耳を澄ませて
あの夏が聴こえない?

くちびるが
あんまり震えるから
堪えきれずに
笑った

会ってすぐに
帰る話なんて止めようよ
その時間になったら
化粧を直しにいく振りで
タクシーでも拾いなよ

そうね、
なんて
微笑ってみせるきみに
どんな言葉が欲しい

やさしい
振りだけして
ねえ
どんな僕が欲しいの

耳を澄ませて
あの夏が聴こえない?

知ってるよ
きみにはもう聞こえない
氷が溶けて
鳴った

寄せる波に
紛れた囁きを捜すのも
恋によく似た嘘も
思い出も冗談も皮肉も
品切れになって

またね、
なんて

くちびるが
あんまり震えるから
堪えきれずに
笑った

くちびるが
あんまり震えるから
堪えきれずに
笑った