夏の空いっぱいに
すきだって叫んだ
目を閉じて
風に耳を澄ませた
電波塔と全身を
収めようとするから
両方遠くなるのは
仕方がないんだって
言っても聞かない
じゃあもういいって
カメラを取り上げて
台座に腰を下ろした
夏の青いっぱいに
心は散乱する
目を閉じれば
あの日の湧き立つ雲
もう誰も乗り降りしない
忘れられた駅
イノシシの親子だけが
たまに待っているんだって
真に受けないよ
そんないつもの嘘
真に受けたりしないよ
その悪戯な瞳
最後に
菊水山で愛を叫ぼうって
真に受けたりしないよ
涙目で笑って
夏の空いっぱいに
すきだって叫んだ
これっきりの
思い出だってキスして
夏の青いっぱいに
心は散乱する
目を閉じて
聞き取れなかった囁き
目を閉じて
風に耳を澄ませた