モクセイ

ベルの音のむこう
泣き顔が見える
少しためらって

やさしい言葉を探す
間に合わずに

金銀のあまい
木犀の香り
胸をつまらせて

さびしい視線を逸らす
冷えた頬に

雨よ 降るな
僕の大すきな
女の子を 濡らすな

眼を伏せて焦がれる
帰り際の笑顔
確かめたいのに

最後の夜だとしても
振り向けずに

金銀のあまい
木犀の香り
もうこれ以上

棄てる約束はないから
もういいだろう?

雨よ 降るな
僕の大切な
宝物を 濡らすな

耳元の 囁き
掻き消してく雨垂れ

思い出も 心も
遠く運ぶような

風よ 吹くな
僕の好きだった
花びらを 散らすな

雨よ 降るな
僕の大すきな
女の子を 濡らすな