2020/08/06

 

ドームへは
一度だけ行った
足が竦んで
館内には
どうしても入れなかった

蝉が鳴いて
樹々は騒めいて
光る芝生の向うを
白い犬が走る

饒舌な沈黙
夏の強い日差しに
煌く川面を掠めて
数羽の鳥が飛ぶ

全て
一瞬に燃えたのだ

足が竦んで
汗が滲んで
人間であることが
あんなに申し訳なかった日はない

2020/07/15

 

言葉にすれば
端から
嘘になるから

最初から
嘘のつもりで

さよなら
もう愛してない
だけど
幸せを願うよ

さよなら
まだ今なら
笑い話さ
忘れてしまおう

そんな夢で
醒める真夜中

さよなら
もう愛してない

だけど
幸せを願うよ

まだ今なら
笑い話さ

もうこれきり
忘れてしまおう

2020/06/15

 

努力は
ほとんど全部
叶わなかったけど

憶えていてよ
憶えていて

なんて
今でも
思い出すのは
忘れないのは

きっと
僕だけだろうけど

憶えていて

夜の雨に
その靴音を探して

明けた朝の
びしょ濡れの街角

低いパス率で

服を乾かすための
パネルの数字を押す

震えて

憶えていてよ
憶えていて

2020/06/07

 

森を薙ぎ
空を焦す

無辺だと
謳われる宇宙の

水の星に
生まれついた

食らい合う
命たち

罪の前に同じ
罪の前に同じ?

無数の悲鳴で
出来た身体で

地表を覆う
爛れた無邪気で

賑やかに次は
砂の星へ?

罪の前に同じ
罪の前に同じ

2020/05/24

 

もう十分眠くなってからそれから
夜ごと白い小鳥をタップ

TLとリストを行き来する間じゅう
目や鼻に落ちてくるスマホ

何かを思うのに疲れて
何も
思わないでいられたら、と

降参は僕の得意技だったのにな
睡魔と落下とブックマーク

残りの泣き言はきみにしか言わない
赤い眼を擦ってさあリスタート