謝らないと決めたし
嘆かないと決めた
いただきます も止めたし
ごちそうさま も止めた
手も合わさず
仏も彫らず
生きる ということを
考え続けている
謝らないと決めたし
嘆かないと決めた
いただきます も止めたし
ごちそうさま も止めた
手も合わさず
仏も彫らず
生きる ということを
考え続けている
虚空に向って
叫ぶ
声は
届かないけれど
何時か
誰もが
同じように
一つ処に往く
金も
襤褸も
剥いで棄てて
嘸かし
奴等は
寒いだろう
心を吐いて
書いて
折れて
歯を食いしばる
何より
僕は
美しく在りたい
「死」はいつも
どうせ勝つ
太古から
一つ残らず
肉塊は
滅び去る
連綿と
「死」だけが蔓延る
それでも「死」と「死」の間隙に
過ごした月日の片影が
愛しいなら
眩しいなら
器くらい
「死」にあげるよ
高らかに
負け戦
曠野を行く
二つの影
口笛を
吹き鳴らして
網の中は
玉石が犇く
耳を塞いで
怒鳴り合う様を
ぼんやり眺める
人間なんかに
生れるべきじゃなかったのは
僕なのか
かれらなのか
ナショジオが
絶滅を予言する
先史から
現れては消える
生きとし生けた獣らは
骨になり
歌になり
胸を騒がせる
時間と空間を飛んで
横たわる化石の
手と手を繋ぐ
言っておくね
きみは
僕の人生の最高の宝物
別れが来て
やがて
始めに戻ったら
また
アンモナイトから
また
きっと出逢う
言っておくね
僕を
愛してくれてありがとう
生まれつきの
悪い
魔法を解く口づけで
最後
全部放り投げて
きみを抱きしめる
最後
全部全部放り投げて
きみを抱きしめる