ruby red melody

無造作に積み上げたCD
プラスチックのケースの疵
何かを思い出してる

細い首に絡むネックレス
引き千切って泣かせたくなる
縺れる指でキーを叩く

音もなくメロディー闇に響け
僕はきみの声以外耳を失くす

唇の温度で僕よ届け
こんな思いを伝える言葉なんてない

夜に意味なんていらない
僕の網膜にただ焼き付け
甘く爪を噛む横顔

視線だけで溶けだす本能
胸を灼く乱暴な紅蓮
白い肌に燃えて落ちる

果てしなくメロディー闇に響け
僕はきみ以外すべて失くす

唇の温度で僕よ届け
こんな思いを伝える言葉なんてない

音もなくメロディー
きみに触れて鼓動が張り裂ける

無造作に積み上げたCD
プラスチックのケースの疵
何かを思い出してる

触れる度に蠢く原始
胸を射る鮮やかな紅蓮
その肌に燃えて落ちる

果てしなくメロディー闇に響け
僕はきみ以外すべて失くす

唇の温度で僕よ届け
こんな思いを伝える言葉なんてない

知らず

きみを
思ったりはしない

酔い痴れて
誰になのか
ささやかな誓い
また破って

組み上げた
パズルを崩す

また一から
嵌め込むんだ
忘れるために
また思い出して

繰り返す夜
欲しいものだけを
なんとか忘れて

だけど同じさ
よく似た微笑みに
振り返ってしまう

何処まで 追うんだろう

知らず
空に高く銀河

酔い痴れて
白い息で
僕の好きな
きみの好きだった

古い恋歌
覚束ない足で
海岸通を

初めてきみと
朝まで波を見た
モザイクの桟橋

風に絡んだ髪
水面で揺れたネオン

何処まで 追うんだろうね

知らず
空に凍る銀河

夏の手前のパラソル

この手を取って
ねえお願いさ
ただ頷いてみせて
地下への階段で

細いヒールを響かせて
微笑んで

この手を取って
秘密の箱の中へ
ただ頷いてみせて
午后の陽を避けて

2国の長い赤信号
待ちかねて

欠伸をひとつ、ふたつ
夏の手前のパラソル

いまが
これが
永遠でいい

この手を取って
ねえお願いさ
ただ頷いてみせて
いまメロディが鳴る

2国の長い長い赤信号
駆け出して

ファンファーレみたいなクラクション
夏の手前のパラソル

いまが
ここが
永遠がいい

ねえ
微笑んで

ねえ
好きよ って

ねえ

菊水山で、愛を叫ぶ

夏の空いっぱいに
すきだって叫んだ
目を閉じて
風に耳を澄ませた

電波塔と全身を
収めようとするから
両方遠くなるのは
仕方がないんだって

言っても聞かない
じゃあもういいって
カメラを取り上げて
台座に腰を下ろした

夏の青いっぱいに
心は散乱する
目を閉じれば
あの日の湧き立つ雲

もう誰も乗り降りしない
忘れられた駅
イノシシの親子だけが
たまに待っているんだって

真に受けないよ
そんないつもの嘘
真に受けたりしないよ
その悪戯な瞳

最後に
菊水山で愛を叫ぼうって

真に受けたりしないよ
涙目で笑って

夏の空いっぱいに
すきだって叫んだ
これっきりの
思い出だってキスして

夏の青いっぱいに
心は散乱する
目を閉じて
聞き取れなかった囁き

目を閉じて
風に耳を澄ませた