まだいまは
薄く張った氷のうえ
気をつけて
気をつけて
進む
その手を
離しはしないから
あと少し
降るような花の庭まで
気をつけて
気をつけて
進もう
きみを
離しはしないから
無造作に積み上げたCD
プラスチックのケースの疵
何かを思い出してる
細い首に絡むネックレス
引き千切って泣かせたくなる
縺れる指でキーを叩く
音もなくメロディー闇に響け
僕はきみの声以外耳を失くす
唇の温度で僕よ届け
こんな思いを伝える言葉なんてない
夜に意味なんていらない
僕の網膜にただ焼き付け
甘く爪を噛む横顔
視線だけで溶けだす本能
胸を灼く乱暴な紅蓮
白い肌に燃えて落ちる
果てしなくメロディー闇に響け
僕はきみ以外すべて失くす
唇の温度で僕よ届け
こんな思いを伝える言葉なんてない
音もなくメロディー
きみに触れて鼓動が張り裂ける
無造作に積み上げたCD
プラスチックのケースの疵
何かを思い出してる
触れる度に蠢く原始
胸を射る鮮やかな紅蓮
その肌に燃えて落ちる
果てしなくメロディー闇に響け
僕はきみ以外すべて失くす
唇の温度で僕よ届け
こんな思いを伝える言葉なんてない
夏の空いっぱいに
すきだって叫んだ
目を閉じて
風に耳を澄ませた
電波塔と全身を
収めようとするから
両方遠くなるのは
仕方がないんだって
言っても聞かない
じゃあもういいって
カメラを取り上げて
台座に腰を下ろした
夏の青いっぱいに
心は散乱する
目を閉じれば
あの日の湧き立つ雲
もう誰も乗り降りしない
忘れられた駅
イノシシの親子だけが
たまに待っているんだって
真に受けないよ
そんないつもの嘘
真に受けたりしないよ
その悪戯な瞳
最後に
菊水山で愛を叫ぼうって
真に受けたりしないよ
涙目で笑って
夏の空いっぱいに
すきだって叫んだ
これっきりの
思い出だってキスして
夏の青いっぱいに
心は散乱する
目を閉じて
聞き取れなかった囁き
目を閉じて
風に耳を澄ませた