最後のまるい月

ほらね マボロシと踊るよ
一途な夢も消えるよ
期待もせずに ただ何度でも
深夜のテレフォン きみを誘うよ

さあね 泣いたりもしたよ
悲しい夜もあったよ
記憶なんかは あてにならない
それより今日は 五月晴れだよ

何でもいいから 海が見たいな
言い訳なしで きみに触れたいな

もしさ 例えばだけどさ
近い将来、突然
ココロの中に これっぽっちも
きみがいないとか あるとしてさ

横顔に 陽を受けて なんて? って
ハンドルを握る指の
華奢なリングを光らせる

須磨の海 舞子の波 塩屋のカーブ
2、3度首を振って
何でもないよって 笑って

ほらね マボロシと踊るよ
一途な夢も消えるよ
期待もせずに ただ何度でも
きみに囁くよ 縺れる舌で

きみの マボロシと踊るよ
冷たい背中を追うよ
懲りないままで ここまで来たよ
分かっているよ 分かっていたよ

千年を夢みて 明日に震えた
ぽっかり浮かぶ 最後のまるい月

さあね 泣いたりもしたよ
悲しい夜もあったよ
離れるくせに 忘れるくせに
そんなに強く 抱きしめるんだね

そんなに強く 抱きしめるんだね
それより今夜は 月が綺麗だよ

ねえ
月が綺麗だよ

ずっと
月が綺麗だよ

ずっと
月が綺麗だよ

バースディ’sキス

リゾートホテルの広いバスタブで
三度目のハッピーバースディ'sキスして

目覚めた今日の行き先は
夢の国の夢の海
まずはあのタワーへ

今なら20分待ち
大急ぎで回廊を抜けて
シリキ・ウトゥンドゥの謎を解いて

手を振って 急降下
その前に 笑顔でピースサイン

次のお目当ては火山探索
道すがらケープコッド・クックオフ
バーガーを頬張ったら

足早にセンター・オブ・ジ・アース
割と不運なアクシデント
まあどうせ何回も乗るしさ

秋晴れの 空の下
微笑んで 僕の女の子

ファーストチケットもなしに
がっつりと並んだ挙げ句に
離れ離れのレイジングスピリッツ

間中漂っていた香り
堪らなくなってまた並ぶ
スパイシースモークチキンレッグ

きみのお願いもちゃんときかなきゃね、って
クマの着ぐるみとも記念写真

微笑んで 僕の女の子
何度でも ハッピーバースディ'sキスして

陽はもう傾く
種も仕掛けも荒っぽさも承知で
クリスタルスカルを怒らせに行こうか

陽はもう沈む
これで最後の火山探索
一瞬の夜空に大輪の花

帰り際 何度も振り仰ぐ
プロメテウス きみを愛してる

振り仰ぐ プロメテウス
横顔に 永遠のバースディ'sキス

バースディ・イブ

30分早い開園
空は青 雲は白
アーケードをくぐって
着ぐるみを横目に
スペース、スプラッシュ、ビッグ・サンダー
得意げな横顔の
グランドサーキット・レースウェイ

次はどうする? って
パークの地図を広げて
モンスターズインクにがっかり
スタージェットにもがっかり
スターツアーズでは少し酔って
トゥーンタウンの
小さなコースターで笑った

人混みをすり抜けるたび
繋いだ手をぎゅっと握って
この瞬間がずっと続けばいい
この時間がずっと続けばいい

初めて足を止めて見るパレード
二人でハロウィンのオバケのダンス
こんな瞬間がずっと続けばいい
こんな時間がずっと続けばいい

結局三度も観たフィルハーマジック
やっぱり好きなピーターパン
ひたすら夢中のバズライトイヤー
乗る前が一番面白かったダンボ
駆け足すぎたピノキオ
流れ星で始まる
お気に入りはカリブの海賊

閉園ぎりぎりまで
乗って 歩いて 笑って
こんな瞬間がずっと続けばいい
こんな時間がずっと続けばいい

こんな時間がずっと続けばいい
こんな僕らでずっといれたらいい

インプット20XX

とりあえず始まった
ロング・バケーション

読みかけの本や
齧りかけのエトセトラ
行きたかった山や
また見たい海や空

クーラーの部屋から
20XX年の夏へ

せーので飛び出して
白いノートを広げる
頭のどこか深くで
懐かしくて甘い歌

聴こえる
さざ波のラインダンス

そんな何もかもが
夏のせいさ

なんて笑い合って
ロング・バケーション

世界地図もいいけど
まずは日本地図を制覇
次は時をかける町へ
それからきみのウォルト・シティ

どの海も空も
胸いっぱいインプットすれば

寄せる
さざ波のラインダンス

そんな何もかもが
きみのせいさ

Honey moon

サングラスは要る?
サンオイルは要らない?

雑踏を泳ぐ朝夕のラッシュ
カレンダーにも腕時計にも飽き飽きして
もういいじゃん
たまにはいいじゃん
梅雨もまだ先のバカンス

低迷が続く軟弱な気温
トリハダで心臓マヒ確定のダイブ
でもいいじゃん
なんでもないじゃん
きみの助手席で海へと

お願い
浜辺に寝転んで震えても
お願い
熱帯魚みたいな水着でKiss

2号線をひたすら西へ西へ
太陽の角度はいまが一番いいんだ
街を過ぎ
すべて過ぎ
ほら海が聴こえはじめたら

島影と落ちる陽と金の波
僕の好きなものきみに見せてあげたい
満ちる月
蜜の月
カセットの間延びしたサマーソング

お願い
変わらないものはきっとないけど
お願い
解けない魔法かけてKiss

サングラスは要る?
サンオイルは要らない?

永遠はある?
指きりなんか要らない!

星を従えて家路を急ごう
アニマルばりの仕草で抱き合いたい
ねえいいじゃん
なんでもいいじゃん
気が狂うほどきみがすき

満ちる月
蜜の月
届くまで渾身の遠吠え