ある場面

アスファルトへ
打った水が
熱を冷ます

もう夏の
朱い夕暮れ
振り返れば

風が
渦巻いて高く
ふっと
思い出した場面を

何処か
遠くまで連れて
追えば
時を戻せるような

もう一度、と
もう二度と、を
繰り返して

言い掛けた
言い逃した
あの言葉を

僕が
まだ持っているなら
きみが
まだ憶えているなら

風が
渦巻いて高く
ふっと
思い出した場面

もう一度、と
もう二度と、を
繰り返して

重ならない
運命の向こうの

架空の物語に
胸を焦がして

もう一度と
もう二度とを
繰り返して