続・夏の匂い

肩に凭れて
はじける光を見てた

続く熱帯夜
過去から吹いてくる風

そのひとはわらった
本当に久し振り、って
オイルライターを擦って

揺れる火で
赤い紙縒りを燃やした

視点をぼかして
とりどりの色を見てた

そのひとはわらった
少し変わったわね、って
耳元にくちづけて

短い沈黙
次の言葉の前に

アスファルトに寝そべって
子守唄をせがんだ

朝になるまでの
弱虫な魔法ね、って
ボトルを取り上げて

そのひとはわらった

夜明け

薄いブルーの空気に吸い込まれた
光の粒

夏の匂い
僕を何処へでもいい

運べ