蝉とホタル

海沿いの線路
開いた記憶のない
踏切
無理に
越えるのはよそう

偶然と必然の
その間みたいな
再会
無理に
笑い合うのはよそう

宛てもなく
走り出せば
見通しの
悪い
過去へ向かうカーブ

あの頃の僕らは
何も知らず鳴く蝉

時は流れる
傾く日差しに
光る
銀の輪
外さなくていいよ

指差した家から
少し離れた橋
せせらぎに
明滅
振り向かず行けよ

果てのない明滅
振り向かず行けよ