2020/02/23

 

その時間が
眼の奥に残ってる

坂を
上り切ったら
螺旋の階段が見えて

真夜中のオリエンタル
ペン型のエレベーター

馬鹿だとは
思っていたけど

街灯を
くぐる度に
足下の影を掴まえた

何も言えなかったけど
何も言えなかったけど

2020/02/22

 

選んだ夜も
避けた通りも
巻き戻す時計で
出鱈目な呪文で台無し

酔いも回って
午前零時
見慣れた横顔に
ハートブレイクは定石

港のタワー
水面の灯り
滲み出す視界に
振り向いて駆け出す幻

胸の痛みに
名前をつけて

もう忘れた、と
オリーブを振る
不敵な微笑みに
ハートブレイクは上出来

2020/02/12

 

最後は
目も合わせず
柄にもない手紙を受け取った

今生の
別れなんだと

走馬灯はめぐる
分かってる
唱える異議は
口の中で消える

どんな嘘にでも
騙されるのにさ

走馬灯はめぐる
知るもんか
呷るジンは
いつかの夜のブルー

呷るジンは
あの夜のブルー

今生の

もう

別れなんだ と

2020/01/31

 

飲み過ぎ って
それだけ言って
テーブルを片づける

謝りたい時ほど
謝れずにいるから

涙が出て

笑わないで って言ったら
いつも笑うのに

笑っていいよ って言ったら
いつも笑わない

もう
生まれた意味はあるから

後は
全部が
生きていく意味