次は出逢わない

すべてを
きっと憶えておいて
次は
決して出逢わない

428号線の短い
トンネルを抜けたら
後は5回曲がるだけだって

何十ものカーブを無視した
雑な道案内で
辿り着いた坂の上には星が光ってた

またね って
振り向きもせず

すべてを
きっと憶えておいて
次は
決して出逢わない

散歩して喧嘩して
昼寝して絶交して
あのいつもの駐車場の隅

セルモーターを回させてって
車のカギをねだる
僕の背中の夕焼けを映した瞳が

問いかけた
答えを待たずに

またね って
小さく滲んだ

きっと
次は出逢わない
もし出逢っても
次は通り過ぎる

その口癖を
微笑みを
きっと憶えておいて

次は出逢わない
路地裏のネオン
次は通り過ぎる
港の夜の赤いタワー

きっと
憶えておいて
次は
決して出逢わない

ずっと
憶えておいて
二度と
逢うことのない世界で

きっと
憶えておいて

次は
決して出逢わない