初恋

理科の実験教室は暗くて
不思議な匂いが立ち込めてた
マッチを擦って きみは息を止める
アルコールランプに 細い火がのぼる

初夏の日差しは強くて
扉をくぐる瞬間みんな影になる
きみが忘れても ぼくは忘れない
そんな事を ぼんやりと考えてた

変わらない 忘れない ずっといたい
誓いじゃない これが呼吸

放課後のグラウンドをきみが走る
遠い夕陽に輝いた天気雨
虹が見えた きみを見てた
未来なんて ほんの明日だと思った

きみといたい ずっといたい 持て余して
別れ際に 長くなる影

屋上へつづく非常口はいつも閉まってて
扉の前できみと寝転んだ
きみは忘れても ぼくが忘れない
震えた声に きみは微笑んだ

それで、その後どうする?
見つめ合って、それからどうする?

つないだ手を 握りしめて
未来なんて ほんの明日だと思った

放課後のグラウンドをきみと走る
舞う土ぼこりに涙目で笑って
きみが忘れても ぼくは忘れない
未来なんて ほんの明日だと思った

つないだ手を 握りしめて
未来なんて ほんの明日だと思ってた