しるしをつけよう

だれのものでもない夏の
だれのものでもない海に
ふたりだけの 恋のしるしを刻もう

なんてことはない夜の
なんてことはない月に
思いつくだけの あまい願いをかけよう

力の限り日常を駆けて この世の涯まで
どんな夢も愛も膨らませて 命の終わりまで

噛みすぎたくちびるで 血の味のキスして
流しすぎた涙の海さえも ぼくらは泳ぎきる

だからまだ見ない夏の
いつか辿り着く海に
迷わないように 恋のしるしをつけよう

ぼくの知らないきみだけの過去に 心を焦がして
どんな棘も蜜も飲み下して 世界が止まるまで

愛し合う一秒は こんなにも短い
だけど見つめ合う一秒は せつないほど長い

だれのものでもない夏の
だれのものでもない海に
ふたりだけの 恋のしるしを刻もう

ぴったりと抱き合った ぼくらは溶けるように
心のどこにも 嘘のかけらもなく

だからまだ見ない夏の
いつか辿り着く海に
迷わないように 恋のしるしをつけよう

月明かりに照らされ 歩き出したぼくらは
伸びる影にさえ 嘘のかけらもなく

ぴったりと抱き合った ぼくらは恋のままに
心のどこにも 嘘のかけらもなく