1996年のハートビート

僕にはもう自覚できない
ある種の懐かしさ
ときどき催眠術みたいに
歌の端っこサブリミナル

いつも
夏になるから思い出すんじゃなくて
思い出せば夏なんだ

白のパンダをたくさん並べた
かわいい夢のなか
厚底ブーツで蹴飛ばされて
打ち鳴らされたハートビート

いつでも
失くしたものほど輝くんじゃなくて
輝くものを失くしたんだ

いまさら思い出してる
きみが
まだよく知らない女のコだった頃

ビルの間から見上げた
多角形の青空
変わらない裏通りの迷路
まだ抜け出せない 1996

いつか
夢見る季節を過ぎるんじゃなくて
過ぎた季節が夢なんだ

いつも
失くしたものほど輝くんじゃなくて
輝くものを失くしたんだ

いまさら考えてみる
きみの
どの言葉を信じればよかったのか

きみが
まだよく知らない女のコだった頃

僕にはもう自覚できない
ある種のもどかしさ
白いパンダをたくさん並べた
かわいい夢のなか

厚底ブーツで蹴飛ばされても
もう手遅れなハートビート