一生に一度

誰かの横顔を見つめて
胸がどうしようもなく痛い
一生に一度だよ
こんなことは きっともう無いよ
きみみたいな女の子は
何処にもいない

僕も想うひとがいるから
出逢うのが少し遅かったんだ
一生に一度だよ
こんな嘘は 誰かのための嘘は
あと二分なら笑える
バスの時刻まで

いますぐに きみを連れ去って
もう言葉も出ないから
荷物を渡す手が 震えているのを
気付かれないうちに早く

夏の最後の日差しに
きみの頬があかく染まる
一生に一度だよ
こんなことは きっともう無いよ
届かない声でそっと
名前を呼んだ

いつの日か また会おうなんて
言えるふたりじゃないから
ただ忘れないと 忘れられないと
きみの横顔を見つめて

この扉が閉まったらもう
すべて夢だったようにも思えるよ
一生に一度だよ
こんな嘘は 誰かのための嘘は
バスの窓越しにきみは
少しだけ泣いた

届かない心で僕は
名前を呼んだ

一生に一度だよ
こんなことは きっともう無いよ
きみみたいな女の子は
何処にもいない