砂浜を走る

藍が闇に変わり 風が騒ぎ出せば
途切れた時間の続きが始まるよ ほら
微笑むきみが浮かぶ

砂浜を走る きみを捉まえたくて
縺れる足で あの砂浜を走る

月が高く昇り 波が目を覚ませば
渇いた心は一瞬で満ちるよ ほら
波間にきみが浮かぶ

幾千の悲しい歌を祈りのようにうたう
月が照らす砂浜は 骨のように白い
幾千の悲しい恋を祈りのように抱いて
きみをいつも追いかけて 僕は走る

真夜中の海を 息を切らして泳ぐ
痺れる腕で 冷たい海を泳ぐ
届きはしない きみを想って泳ぐ

濡れた砂を噛んで 赤い目を擦れば
壊れた祈りはすべてを叶えるよ ほら
微笑むきみが浮かぶ

ねえ きみと憶えた歌を呪いのようにうたう
耳に残るその声を 風の中に捜す
ねえ きみと憶えた恋を呪いのように抱いて
傷ついてもいいからと きみを見てる

ねえ きみと憶えた恋を呪いのように抱いて
出逢うまでの人生を きみに棄てる

砂浜を走る きみを捉まえたくて
縺れる足で あの砂浜を走る
いるはずもない きみを追っては走る

砂浜を走る きみを捉まえたくて
絡まる舌で 愛していたと叫ぶ
届きはしない 恋と知ってて叫ぶ

砂浜を走る きみを捉まえたくて
縺れる足で あの砂浜を走る
愛していると きみを追っては走る