夏の匂い

気紛れさだけが きみのすべてで
僕を掻き回すのは きみの悪い未練で
明け方の街は もう夏の匂いがする

きみが置いてきた 温もりと溜め息が
消えてしまう前に帰るって
気づかれないうちに帰るって
今年も天の川は 見れそうにない

まずは嘘に慣れて
次に待たされることに慣れた
そして傷つくことに慣れて
いまは諦めることにも慣れた

僕は僕の意思で ここにいるのさ
きみの背中を見たくて ここに来たのさ
言い過ぎた強がりに もう 声さえ震えない

ねえ、何処へも行けなくていい
この細い糸が 切れなければそれでいい
抱き寄せる肩は 懐かしい匂いがした

ただそれだけで 胸をいっぱいにする
送らないで、と きみは車を止めた
何度も繰り返す さよならにだけは慣れれず

ぼやけていく景色に 叶わない夢をみる
少しだけ微笑って 少しだけ泣いて
国道の向こうから もう夏の匂いがする