2019/12/10

失われてゆく海も土も何時まで涸らす声も めぐりめぐる 消費の為だけの命も何処まで燃える森も ピンで止めて この世でも あの世でも誰にも謝らない覚悟はできたから 夜更け好きな歌や 何のことはない存在の証明の 何のことはない卑小な愛を 囀ろう

2019/11/30

その大雪は予報通りで知らなかった振りをした ライトに舞う光る欠片を違う気持ちで見つめていた カーステレオで恋の歌が続くぼやけた六等星だけど 頬に受けた視線の意味はたぶん分かっている カーステレオで恋の歌は続くぼやけた六等星だけど

2019/11/23

どうせ安い涙だと 笑うでもなく笑ってショットガンを呷って この夜忘れないでよね って 街はセロファンの光 笑うしかなく笑ってくだらなく抱き合って 誰もが魔法が使えたなら なんて忘れてしまってね って 死ぬまで忘れないけどね って 死ぬまで忘れないけど…

2019/11/18

果てしない空間の切り取られた片隅を小さな画面が映す心象と事象の羅列 不意に熱っぽさが消え 目を離せば眩しい空 ああ 僕は信じたものと生きていこう ブラウスの色を選ぶ真剣な横顔が何を今さら、って目の端で微笑う 僕は僕のすべてだけと心中する

2019/11/13

いつも浮ぶのは横顔 その僕にじゃない笑顔を追いかけて 100分の1目が合う 一生言わないつもりの言葉が胸で騒ぐ なに?って 口パクで言って首を傾げた 1985年それが 5月のハイライト忘れじの

2019/11/04

変わらないでいることは諦めたから 焼き増しした記憶や交わさなかった約束で飾りつづけたこの部屋ももうやがて朽ちるだろう 緩やかに傾くトワイライト 短いフィルムの中で接吻を交わす 巻き戻っていく歪なラブストーリー 短いフィルムの中接吻を交わす

2019/10/30

随分前に行ったきりのいつまでも続く城壁の向うの青空を思い出す 遮るものの無いその大きな空に 五つ子の入道がのんびりと流れて 時を重ねてふたたびその地に舞い降りる壮麗な不屈の朱い城を思う 古の物語に未来を照らして

2019/10/23

嘘をつく花火まで楽しんだら帰りの 電車に間に合わないけどどうする、って 眼の奥のイエスとノーを見極めて演じる きみがおもう様に僕もきみを好きだと 上がり続ける花火に照らされて 嘘をつくきみがおもう以外にはどんな気持ちも無いと 手を 繋いで手を 繋…

2019/10/14

生まれた理由に興味はないもう今はね ただこれが最後の夏だとして きみに恥じない僕でいたいなんて思うもんか 最低でも顔も見たくなくても忘れないで忘れないでいて 最低でも顔も見たくなくても 忘れないで忘れないでいて

2019/09/30

ウェザーリポートで赤いカクテルで酔ったフリのきみは前髪を焦がして 細いメンソールの煙を操って唱えた呪文ならとっくに効いている パーキングから海へ大橋はダウト赤いカクテルからもう一度やり直し ウェザーリポートまで辺縁系を西へ

2019/09/21

最後は泣くのにそうやっていつでも笑うんだな 仲直りのきっかけを投げ合ってそのうち糸は切れて また会えたら って行き止まりの 標識の手前で手を振った ダメなのはいつも僕だっていまでも笑うのかな 雨の中嘘つきと強がりで 色の無い唇を震わせて

2019/09/07

酔ってふざけて立てた誓いは脆く破られ上弦の今宵 誰に話そか歌ってみよかそれともきみにさよなら云おうか 今は昔と笑って泣いて愛し恋しと上弦の今宵 誰に話そか忘れてみよかそれともきみに逢いにいこうか 愛し恋し、と上弦の今宵

2019/07/18

急な坂道をずっと上っててっぺんで振り返ると少しは青い海が見える雨の日はただ海が見える 下れば昏い海が揺れる雨の夜は思い出が見える