2017-01-01から1年間の記事一覧

kill me

それは冷たい夏の冷たい夜できみは強い風に身体をすくめる 瞬間で恋に落ちて飛んで跳ねた成れの果ての別れの月のない夜 きみからは 何も言わせないヘッドライトが切り裂く タールのような夜足下に広がる黒い海 完全に何もかもが 壊れてしまうまでこの腕がち…

キスを

今夜これが最後の二人のエピソードになるなら紅茶に落とす砂糖のように不思議な色に溶けたい 夢の夢の恋だから失うことでしか残せないなら傷つくことは怖くはないと震える僕に やさしく キスを キスをしてくれないか痺れるほど甘い砂糖菓子のようなキスを キ…

花の模様の肩越し

波音はもう消えて 西風が近づいて退屈な夏は過ぎ 空がまた高くなる 僕たちはもう二度と 微笑みで逢えないと痛いほど分かるから 「さよなら」はいらないよ 真夜中に 鳴り続けたテレフォン伝えたいことなら もう分かっているからきみはきみでいればいい いつか…

静かな闇

時間を忘れて夜の闇に深く沈んだきみの体温だけをそばに感じてた 未来のことは考えないと決めたきみには何も訊ねないと決めた 窓の外には真夏の月が輝くだけど僕はこの闇以外には何も要らなかったきみが溶け込んだ静かな闇以外は きみは眠るふりで 僕を拒み…

淋しいヒアデス

寒すぎる夜が嫌いだそんな夜にひとりでいることが嫌いだ 優しい言葉が嫌いだそれよりももっと喋りすぎる虚しさが嫌いだ よく晴れた星空凍る指先を伸ばすあれは、オリオン 先進という響きが嫌いだそんな国に生まれたことが嫌いだ 過去も現在も嫌いだちいさく…

風の匂い 夏の湿度

僕が悪かったのかなきみが悪かったのかな とにかくたくさん僕らは間違ってきた気がするよ 何処かで鳥の声が聞こえて肩に凭れたままのきみが寝返りを打って覚めた夜明け 壁に浮かび上がらせた影絵指先と指先でキツネのキス軽くついばみ合う小鳥のキス いまも…

KOBE,1991

ハンズ横の雑居ビルエレベーターが開く 僕と誰かを運ぶ2:00am記憶が弾け飛ぶフロア9F コマ送りのフィルムを眺める幕開けは湾岸で火花 「僕はありえない制服を着てた」横顔だけで応えて 不安定な止り木で足を組み替える金星 目を伏せて夜は魔力に満ちた コマ…

イリーガル

懐かしい夢に飛ぼうきみに会いにいくよレコードに針を落としてきみを抱きしめるよ 流れた時間は忘れて長い髪を揺らして オトナになったって言ったってたかが十何年じゃないか矢のように過ぎる人生に風のように気紛れな運命にどれほどの 意味があるの いつか…

こんな風の夕べ

どうしてなんて 訊くのもおかしいね今夜は始めから 別れの流れだね相変わらず 空には月 もういいからいつもみたいに笑いなよ またもお決まりの スコッチの夕べはきみが思うほど 悪くはないんだよあまり長く 片思いだと それはそれでどれも甘いエピソードばか…

天国の端

積み上げた心を 波がさらう一瞬のうちに どこか遠くへ 継ぎ接いだ言葉を 風が嗤う夢の場所へは 辿り着けずに 眠るために訪れた 遠いいつかの海辺横顔と 薬の白さにためらってそれでも 飲み下した決意は苦く 眠る 夢はできれば無であるように祈る 心はできれ…

夏が泣く

夏の雨 こうして身体に受けるよ思い出を ひとつひとつ流していくんだ 夢に見た 再会とはいかなかったけど別れ際の 笑顔は胸に突き刺さった 昔よりはもっと うまく言えると思った汗ばんだ手を ジーンズで擦って何度も擦って すきなひとがいるって きみはまた…

逆光で見えない

鍵盤に指を落としもう上手く動かない手で何を掻き集めて何を解き放とう 忘れていたはずの約束をまた思い出してまた忘れるためにまた思い出して 遠い日の モデラート小さな窓辺の僕らが逆光で見えない いつか行こうと笑ってくるくると回した地球儀天空の遺跡…

微笑んでくれ

またくだらなく酔っていまも抜け出そうと足掻く その先も方法も 分からないまま 見た夢が大きすぎたんだ僕から遠すぎたんだんだ 言い訳なら苦もなく あとから溢れる 始めから嘘じゃなかった 同じよ、そう言って別れた 悔やむことばかりが山ほどなのに願うこ…

1996年のハートビート

僕にはもう自覚できないある種の懐かしさときどき催眠術みたいに歌の端っこサブリミナル いつも夏になるから思い出すんじゃなくて思い出せば夏なんだ 白のパンダをたくさん並べたかわいい夢のなか厚底ブーツで蹴飛ばされて打ち鳴らされたハートビート いつで…

"BEACH BABY"

陽に灼けた肩に何度もくちづけてあどけない襟足に頬を寄せて 耳を打つ鼓動季節外れのさざ波運ぶ夏の歌あの昼下がり "(JUST A) SUNNY DAY" 握るハンドルから滑り落ちる指汗ばんだ手首で回るダイバーズウォッチ 蝉の声の洪水オレンジに染まる風誘う夏の香りそ…

ザ・ヒット・パレード

うすく開けた助手席の窓吹き込む風はたぶんマイナス1℃ 渦を巻いて踊る紫煙きみの髪の揺れ方海岸沿いの R 2 THE A 寒いから閉めなよって言えば全開にしてそっぽ向く SEXY GIRL 溜め息も飛び去るスピード窓の外に逃げ出すきみがくちずさむ GAMES PEOPLE PLAY …

財宝の地図

心を入れ替えてまで欲しいなにかは無いんだ この世はすべて借り物だからそれでいいんだ 暗く狭い場所で踊ろう光なんて見えなくても 闇に紛れ込んで思い出にただ沈んで 砂浜へ続くゆるやかな坂道の脇 揺れる夏に咲く花腕の止まった時計 一度だけ見た花火一度…

夏の午後、フェスタで

数え忘れたオン・ザ・ロック頬を染めてきみのガラにもないプラトニック さあね少しだけ妬ける 誘い出されたサマータイム午後の眠る日差しこんな時間から酔いたいの? なんて笑ってたらいいさ 本物の恋ってホントにあったのねってひとり勝手に盛り上がって聞き…

regret

肌寒い 午前零時会えないと 一日が長いもうきみは 眠ってるね まだいまも僕の夢を見るだろうか 取り戻せないユメはどこに落としてきたの 幼さの 残る寝顔もう二度と 見れないのかもねあの頃は ふたりいれば それだけで幸せだと思えたのに 死ぬほどスキと泣い…

きみは笑え

緩みだす風が運ぶ微かな潮の香りと錆びた踏み切りの軋み 涙が出そう ってきみが呟いた夜明けだから憶えてる夜明け 僕は綴る僕の胸を締めつけて離さないそんなものをずっと綴る腕に抱きしめる代わりに 色を重ねていく空消え続ける星屑足元まで寄せた波 崩れち…

harbor light

真っ直ぐ行くんだって左に曲がりたいんだって喧嘩ばかりしていた結局僕らは あの通りより向こうへは決して行けなかった 止めてください、って急にドア開けて飛び出して駆け引きじゃなく本気だからどこかで待ってるはずもなくていつも途方にくれた ホシイモノ…

忘れられない

いつかまた逢えるのだろうそう言って 別れた 道はおもうより遠く僕はおもうより小さく背負いきれない望みだけが先へ先へ進む 心はちぎれてただもう一度会いたくて風はざわめいてきみの幻を揺らす 淋しくて悲しくて仕方ないいつもこんな夜だ いつかまた逢える…

1104

どんな気持ちで明日を迎えるのって欲しい答えはなんなの?優しい言葉は言えそうにないよこんな夜に こんな雨の夜に 見ようと言ったロードショーも終わって呼び出されたきみの部屋さ切り出したのは僕からだけど願ったのは きみだっただろう? 海からの冷たい風 …

半身

恋の断片を書き出しの一行を 見失ったまま何処へ行くのか何処へ行けるのか恋人よ答えはいつも きみが持っていた 春の宵から夏の闇へと手を伸ばす 残像は指を擦り抜けて心を擦り抜けて恋人よ季節はいつも きみが連れてきた いまは昏い空を 片方だけの翼で翔ぶ…

太陽と月

地球儀を ぐるぐると回して笑い合ったきみを 何処までも連れてくのさ海に浮かんだ すべての島に果てしない夢を きみと見るのさ 開いたページのグラビアきみのお気に入りのパームツリー ぼくはハンモックをぶら下げて そしてふたりは寝転んで 青い海辺ラムと…

the chime will ring

バイバイ何を持って何を置いていこう バイバイまた鳴る鐘その終りと始まりに 伸ばした袖に息を吐いて冷たい空気に身を寄せ合って 仰いだ七つ星握りしめた未来そのはずだった僕ら バイバイ胸は痛い?痛いよ、相変わらずね いつかの年もこんなふうに永遠みたい…

僕のために泣いて

指切りして 悪酔いして骨まで融けそうな日差しのなか目を細めて 空を仰いできみは たぶん、と言った 空のボトルを不意に投げつけてこのままじゃ駄目だといつまでもは無理だと夏は終わりだと言った 知ってるよ もう何回も聞いたよ知らないよ だってきみといた…

蝉とホタル

海沿いの線路開いた記憶のない踏切無理に越えるのはよそう 偶然と必然のその間みたいな再会無理に笑い合うのはよそう 宛てもなく走り出せば見通しの悪い過去へ向かうカーブ あの頃の僕らは何も知らず鳴く蝉 時は流れる傾く日差しに光る銀の輪外さなくていい…

ねがい

連れていってくれと願った言葉は風に消されたあいしていると言った声がいつまでも 耳に残った 春の終わり 雨は降り続け街は動き続け 僕は狂い続けた 何も見ずに 何も聞こえずにきみの姿だけを 僕は捜し続けた 連れていってくれと願った未練は何もないからこ…

一生に一度

誰かの横顔を見つめて胸がどうしようもなく痛い一生に一度だよこんなことは きっともう無いよきみみたいな女の子は何処にもいない 僕も想うひとがいるから出逢うのが少し遅かったんだ一生に一度だよこんな嘘は 誰かのための嘘はあと二分なら笑えるバスの時刻…