2020/05/01

 

網の中は
玉石が犇く

耳を塞いで
怒鳴り合う様を

ぼんやり眺める
人間なんかに
生れるべきじゃなかったのは
僕なのか
かれらなのか

ナショジオが
絶滅を予言する

先史から
現れては消える
生きとし生けた獣らは
骨になり
歌になり

胸を騒がせる
時間と空間を飛んで

横たわる化石の
手と手を繋ぐ

2020/04/27

 

言っておくね
きみは
僕の人生の最高の宝物

別れが来て
やがて
始めに戻ったら

また
アンモナイトから
また
きっと出逢う

言っておくね
僕を
愛してくれてありがとう

生まれつきの
悪い
魔法を解く口づけで

最後

全部放り投げて
きみを抱きしめる

最後

全部全部放り投げて
きみを抱きしめる

2020/04/16

 

夜の深い底では

お喋りになるか
黙り込む

何を考えてるか
なんて考えない

吐く紫煙の
エクトプラズム

息をつめて
唇を寄せる

耳元にささやく
徹頭徹尾

「忘れてしまうから」

氷が融けて
短く鳴る

何を考えてたか
なんて考えない

喉を落ちる
チェリーブロッサム

満開の
爛漫の

追憶の
星影の

2020/04/13

 

その眩しさは
わかってる

失ったから
なんかじゃなくて

特別だったから
なんかでもなくて

ただ

好きだったんだ
きみを

その季節を
時間を

その頃の
自分を

好きだったんだ
ただ

ただ
季節を
時間を


フリをして

きみを

きみを

2020/03/28

 

セカイが
僕の望むカタチじゃないのに
どうして
僕がそこで生きなきゃならない?

何度も
振り上げる拳を
何度も
力無く下すのは

そうだ
きみのせいだ
きみ達のせいだ

ズルズルと

こんな
出来損ないを引き摺って

きみのせいだよ
きみ達のせいだよ

とっくに
僕はへこたれてしまっているのに