もう見ることは無いと思った夜明け

忘れはしないけど
二度とは伝えない

この胸を叩く雨
叫ぶように身を任せて

花の終りの
纏わりつく甘い空気
振り払っても
振り払っても

何処へも行かない
捨て鉢な口癖も

炭酸の泡の
最後の消えた音も

忘れはしないけど
二度とは浮かべない

赤信号の向う
一度さえ振り返らない

後ろ姿が
見えなくなるまで呼んだ
その名前を
その名前を

深く飲み込んで
滲んだ暗い朝も

篠突く雨に
溶け出す街灯りも

忘れはしないけど

この心は
二度とは伝えない
未来永劫
何ひとつ伝えない

断片を貼り合わせて

遠い白い空
もう見ることは無いと思った夜明け

もう滲んで
見ることは無いと思った夜明け