悪癖

「どこか遠くまで
連れて行ってあげる」

懐かしい夜
懐かしい沈黙

さよならと
さよならと

「思い出すための
時間だったくせに」

色のない夜
色のない沈黙

さよならと
さよなら、と

いつかの
夏の終わりの花火
見上げて
息を詰めた

華やかな夜
華やかな沈黙

受話器を
先に置くのが嫌で
ほんとは
誰もがさびしい

音のない夜
音のない沈黙

さよならと
さよならと

さよならと
さよなら、と