僕のために泣いて

指切りして 悪酔いして
骨まで融けそうな日差しのなか
目を細めて 空を仰いで
きみは たぶん、と言った

空のボトルを不意に投げつけて
このままじゃ駄目だと
いつまでもは無理だと
夏は終わりだと言った

知ってるよ もう何回も聞いたよ
知らないよ だってきみといたいよ

わがままは お互い様さ
もういらないって掴んだ手を
離さないのは 離せないのは
ただ 僕だけのため?

幸せになれますようにって
あのおまじないをしてよ
唱えるたびに違う あのデタラメな呪文
子供みたいな仕草で

幸せになれますようにって
だけどそれを言うとき
ほんとうに心から 僕のことだけを
考えていただろう?

知ってるよ 季節はすぐに変わるよ
知らないよ だってきみといたいよ

知ってるよ もうさんざん聞いたよ
知らないよ きみもつらいだなんて

指切りして 約束して
毎日僕のために泣いてよ
忘れないで 憶えていて
僕のために泣いてよ

何年後も 何十年後も
僕のために泣いてよ

指切りして 悪酔いして
骨まで融けそうな日差しのなか
目を細めて 空を仰いで
きみは たぶん、と言った