2020/08/18

あの時ならあの時なら まだ そればかり思って随分離れて 電話のメモリーに消せないままの 今も 繋がるんだか繋がらないんだか 分らないナンバー無理な語呂合わせだ って 笑った世界でいちばん好きな あの時ならあの時なら と 破れた心をまた膨らませる もう…

2020/08/12

照り返しでよく見えないたぶん微笑みが 高温の景色に溶けて一度だけ手を振った 白っぽい街の彼方の青眼の端の緑 クラクションと蝉の声に混ざってく赤 名前も想いも心だけで叫んで心だけで叫んで

2020/08/06

ドームへは一度だけ行った足が竦んで館内にはどうしても入れなかった 蝉が鳴いて樹々は騒めいて光る芝生の向うを白い犬が走る 饒舌な沈黙夏の強い日差しに煌く川面を掠めて数羽の鳥が飛ぶ 全て一瞬に燃えたのだ 足が竦んで汗が滲んで人間であることがあんな…

2020/07/15

言葉にすれば端から嘘になるから 最初から嘘のつもりで さよならもう愛してないだけど幸せを願うよ さよならまだ今なら笑い話さ忘れてしまおう そんな夢で醒める真夜中 さよならもう愛してない だけど幸せを願うよ まだ今なら笑い話さ もうこれきり忘れてし…

2020/06/15

努力はほとんど全部叶わなかったけど 憶えていてよ憶えていて なんて今でも思い出すのは忘れないのは きっと僕だけだろうけど 憶えていて 夜の雨にその靴音を探して 明けた朝のびしょ濡れの街角 低いパス率で 服を乾かすためのパネルの数字を押す 震えて 憶…

2020/06/07

森を薙ぎ空を焦す 無辺だと謳われる宇宙の 水の星に生まれついた 食らい合う命たち 罪の前に同じ罪の前に同じ? 無数の悲鳴で出来た身体で 地表を覆う爛れた無邪気で 賑やかに次は砂の星へ? 罪の前に同じ罪の前に同じ

2020/05/24

もう十分眠くなってからそれから夜ごと白い小鳥をタップ TLとリストを行き来する間じゅう目や鼻に落ちてくるスマホ 何かを思うのに疲れて何も思わないでいられたら、と 降参は僕の得意技だったのにな睡魔と落下とブックマーク 残りの泣き言はきみにしか言わ…

2020/05/14

謝らないと決めたし嘆かないと決めた いただきます も止めたしごちそうさま も止めた 手も合わさず仏も彫らず 生きる ということを考え続けている

2020/05/12

虚空に向って叫ぶ声は届かないけれど 何時か誰もが同じように 一つ処に往く金も襤褸も剥いで棄てて 嘸かし奴等は寒いだろう 心を吐いて書いて折れて歯を食いしばる 何より僕は美しく在りたい

2020/05/07

「死」はいつもどうせ勝つ 太古から一つ残らず 肉塊は滅び去る 連綿と「死」だけが蔓延る それでも「死」と「死」の間隙に過ごした月日の片影が 愛しいなら眩しいなら 器くらい「死」にあげるよ 高らかに負け戦 曠野を行く二つの影 口笛を吹き鳴らして

2020/05/01

網の中は玉石が犇く 耳を塞いで怒鳴り合う様を ぼんやり眺める人間なんかに生れるべきじゃなかったのは僕なのかかれらなのか ナショジオが絶滅を予言する 先史から現れては消える生きとし生けた獣らは骨になり歌になり 胸を騒がせる時間と空間を飛んで 横た…

2020/04/27

言っておくねきみは僕の人生の最高の宝物 別れが来てやがて始めに戻ったら またアンモナイトからまたきっと出逢う 言っておくね僕を愛してくれてありがとう 生まれつきの悪い魔法を解く口づけで 最後 全部放り投げてきみを抱きしめる 最後 全部全部放り投げ…

2020/04/16

夜の深い底では お喋りになるか黙り込む 何を考えてるかなんて考えない 吐く紫煙のエクトプラズム 息をつめて唇を寄せる 耳元にささやく徹頭徹尾 「忘れてしまうから」 氷が融けて短く鳴る 何を考えてたかなんて考えない 喉を落ちるチェリーブロッサム 満開…

2020/04/13

その眩しさはわかってる 失ったからなんかじゃなくて 特別だったからなんかでもなくて ただ 好きだったんだきみを その季節を時間を その頃の自分を 好きだったんだただ ただ季節を時間を のフリをして きみを きみを

2020/03/28

セカイが僕の望むカタチじゃないのにどうして僕がそこで生きなきゃならない? 何度も振り上げる拳を何度も力無く下すのは そうだきみのせいだきみ達のせいだ ズルズルと こんな出来損ないを引き摺って きみのせいだよきみ達のせいだよ とっくに僕はへこたれて…

2020/03/19

日常が続いてる今のうちに 備えておこうって真っ先に 僕はスコッチとワインきみはスナック菓子とチョコレート カートを見合って責め合って 笑うまるで親のいない土曜の夜みたいだって じゃあさ日曜の朝のボードゲームも買って 帰ろう ずっと離れずにいよう …

2020/03/11

世界は恐慌だしさて偶には手の掛かるカクテルでも拵えて feat.H.E.R. のミディアムナンバーを小さく鳴らす 古代エジプトの呪いよろしくその眠りを妨げないように、ね 口ずさむもしも人生が映画ならいちばんのシーンはきみ さて面倒なカクテルを氷を割るとこ…

2020/03/06

母が遺した事典や辞書からは四葉のクローバーが幾つも出てきて やわい光を受けた草の匂いの河原を その向うの山を横切る雲の影を 思い出す成長は別離だと乖離だと 怯えて悲しくて捨て鉢で申し訳なくて 幸せにならなければ と幸せにならなければ と

2020/02/27

何かしらの誰かしらの実験ならば もう十分もう結果は出ている 蹉跌だから無益だからその殆どは また何処かでまた元素を降らせて 次は 連鎖の環がいつまでも閉じるように 次は 在るものが在るがままに

2020/02/25

同じ立場に立たないと何も言えないだろう 誰かはそう言うし誰かは言わないだろう そんな言葉に構いもなく 生まれて 愛されたり 愛したり愛されなかったりして 死んで 僕は守られた場所で呑気に涙を流す 赦される事に恥じ恥じる事に赦されて 嫌悪して救われて…

2020/02/23

その時間が眼の奥に残ってる 坂を上り切ったら螺旋の階段が見えて 真夜中のオリエンタルペン型のエレベーター 馬鹿だとは思っていたけど 街灯をくぐる度に足下の影を掴まえた 何も言えなかったけど何も言えなかったけど

2020/02/22

選んだ夜も避けた通りも巻き戻す時計で出鱈目な呪文で台無し 酔いも回って午前零時見慣れた横顔にハートブレイクは定石 港のタワー水面の灯り滲み出す視界に振り向いて駆け出す幻 胸の痛みに名前をつけて もう忘れた、とオリーブを振る不敵な微笑みにハート…

2020/02/12

最後は目も合わせず柄にもない手紙を受け取った 今生の別れなんだと 走馬灯はめぐる分かってる唱える異議は口の中で消える どんな嘘にでも騙されるのにさ 走馬灯はめぐる知るもんか呷るジンはいつかの夜のブルー 呷るジンはあの夜のブルー 今生の もう 別れ…

2020/02/03

人の世も犬の世も儚いものですよ だからもうひと口そのレアチーズケーキを人の子よ 綺麗なおすわりで見つめてくる では僕もスコッチの杯を誤魔化して犬の子よ 湯浴みの神には揃ってあとで叱られるとしよう

2020/01/31

飲み過ぎ ってそれだけ言ってテーブルを片づける 謝りたい時ほど謝れずにいるから 涙が出て 笑わないで って言ったらいつも笑うのに 笑っていいよ って言ったらいつも笑わない もう生まれた意味はあるから 後は全部が生きていく意味

2020/01/28

緩やかな左カーブ 瀬戸内の海が光る 目にした一瞬だけ いつも似たような気持ちで たぶん同じ気持ちで それでも たぶん違う未来で

2020/01/25

金銀財宝思うままの チケットをきみたちにあげるよ もし無いなら一緒に笑おう 生まれて直ぐから来世を夢見て 下心で一杯の徳的なモノを積んで そろそろそんな券を 貰っても良さそうな チケットをきみたちにあげるよ 次もまたここで逢おうよ 次もまたきっと逢…

2020/01/08

冬だしいつもより抱き合おう って 死ぬまでなんの理由も要らない って だから生きてしまったんだ って 責任ならいくらでも取る って 口づけるきっと終わりゆく世界で 口づけるきっと終わりゆく世界で

2020/01/07

食べて 殺して 愛して死神の鎌から逃げまわる宿命だと 淘汰だと 仲間だと数えきれない舌で ならば鬼になりたいと己れの姿も知らず願いもしない者にしか為れず慣れず 次は神に生れてくると無力を振り翳して憎しみと悲しみの夜を越して濾して 何処へも還らず孵…

2020/01/03

走れないなら泳げないなら飛んでやろうと思った コトバノアヤと嘯きながら低い手摺り越し 逆光に目を細め目を細める振りで 奥歯を噛み潰す滴が情けなく伝う 願いはたった一つさ 今でもたった一つさ